【がんばれ!郷土力士】初土俵から1年、横綱倒す 新小結・大の里「落ち着いていた」

 幕下で初黒星を喫し、苦杯をなめたデビュー戦から1年、新三役への「スピード出世」を果たした大の里が節目の土俵で殊勲の星を上げた。大相撲夏場所初日の12日、角界最高位の照ノ富士から白星をもぎ取り、「気持ちが高ぶることなく、落ち着いていた」と本人も納得顔。13日は大関経験者の高安に敗れたものの、地元津幡では「100年に一人の逸材だ」と、早くも「未来の横綱」に期待する声が聞かれた。

 満員御礼の会場で、結びの土俵に上がった大の里の表情は、いつもと変わらなかった。照ノ富士とは1月の初場所に続く2度目の対戦。浮き足立って敗れた前回の経験を生かし、集中力を高めて臨んだ。

 途中、相手の強引な小手投げに振られたが、冷静にすくい投げを打ち返し、横綱を腹ばいにさせた。「納得のいく相撲を取れた」と振り返る一方、「1年後に横綱に勝てるなんて考えてもなかった」と驚きを口にした。

 2年連続アマチュア横綱の実績を引っ提げ、幕下10枚目格付け出しでデビューした1年前は、初日でまさかの黒星を喫した。当時は「自分自身、どうなるかと思った」が、その後は前評判通りの実力を発揮。先場所は優勝争いに最後まで絡む活躍を見せた。

 12日は母の日。プレゼントは用意していなかったものの、母朋子さんら家族が観戦に訪れており、「意識はしていた。勝ちを目に焼き付けたと思う」と話した。

  ●津幡町民「誇らしい」

 12日、津幡町文化会館シグナスでは、町民が大の里の等身大パネル横に設置されたテレビの前で取組を見守り、白星を挙げると「おー」「勝った」と拍手して喜んだ。

 桜丘高3年の花野真悠さん(17)=北中条=は「同じ町出身の住民として誇らしい。感動した」と語り、町内の80代男性は「横綱になれると思う。50年か100年に一人の逸材で、他の力士と比べてもずばぬけて強い」と興奮気味に話した。

 

  ●遠藤、8年ぶり十両で2連勝 輝も白星重ねる

 約8年ぶりに十両の土俵に上がった東3枚目の遠藤は、万全な取り口で2連勝とした。動きの速い東白龍を正面に置き、一方的に押し出した。十両でも声援の大きさは変わらず「応援に応えることができて良かった」とほほ笑んだ。

 初日に不戦勝となり、相撲を取っていなかった東十両5枚目の輝は好内容で2勝目。西5枚目の白熊の鼻血を浴びて右肩を赤く染めながらも攻めて寄り切り「前に前に圧力をかけられた」と納得顔だった。

 東十両13枚目の欧勝海は新十両だった初場所以降、3場所連続となる初日からの2連敗。新十両の栃大海にはたき込まれ、「前まわしを取ってからの引きつけが弱かった」と悔やんだ。

  ●濱田は白星発進

 今場所から番付にしこ名が載った西序ノ口6枚目の濱田(本名・濱田優誠、津幡町出身、金沢学院大附属高OB、錣山部屋)は初日、東6枚目の関本を押し出して白星発進した。

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