【オークス/血統展望】想定8人気以下に「複回収値150超」 “馬券内率50%”該当馬もガラリ一変警戒

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今週末は、第85回オークス(GI、東京芝2400m)が行われる。

牝馬クラシック一冠目の桜花賞を制したエピファネイア産駒ステレンボッシュ、同レース3着のキズナ産駒ライトバック、前哨戦のフローラSを快勝したスワーヴリチャード産駒アドマイヤベルなど、多彩な血統構成の馬が集結。

ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。

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■父サンデー系は相対的に不振?

過去10年の父系の成績を見てみると、父サンデーサイレンス(SS)系が【5.5.7.96】で勝率4.4%、複勝率15.0%と控えめな成績に。その他の系統が【5.5.3.51】、勝率7.8%、複勝率20.3%なので、サンデー系は相対的にやや不振と言える。SS系以外の種牡馬もしっかり狙える重賞だ。

父SS系のうち【3.3.2.28】のディープインパクト産駒以外に複数頭の産駒が好走しているのは【1.1.1.16】のハーツクライと【1.0.1.2】のゴールドシップだけ。

2400mという条件もあって、父SS系ではスタミナ色が濃い馬を狙いたいレースと言える。

そんな状況のなか、着々と戦果を挙げているのがドゥラメンテをはじめとする父キングカメハメハ系。この10年で【3.3.1.18】、勝率12.0%、複勝率28.0%なので、父SS系より狙いやすい系統と言える。

父キングカメハメハ系で狙いになるのがオークスまでに2勝以上を挙げていた馬。この10年で【3.3.1.9】で複勝率43.8%と安定感があるうえ、複勝回収率も162%なので配当妙味も見込める。

マイラーのキングマンボ、さらにはミエスクを祖先に持つキングカメハメハなので、自身も後継種牡馬たちも距離が延びてこそというタイプは少ない。

そのため、距離適性によるアドバンテージ、ちゃぶ台返しはなかなか見込めず、結果として白星を重ねるだけの脚力がある馬がシンプルに強いということになるのだろう。

今年の登録馬父キンカメ系は3頭いるが、そのうち2勝以上を挙げているのはミアネーロのみ。同系で狙うならこの馬になりそう。

■チェルヴィニアは母父の補強が追い風に

その他系統として注目したいのはハービンジャー産駒。今年はチェルヴィニアがその該当馬だ。

ハービンジャー産駒はオークスで【0.1.1.8】で複勝率20.0%。ここだけ見るとビミョーな感じがするものの、母父が芝マイルGI勝ち馬というプロフィールに限定すると【0.1.1.2】で複勝率50%。馬券になったモズカッチャンとナミュールはいずれもこの条件を満たしていた。

放っておくと父に似た晩成の芝12Fタイプになりがちなハービンジャー産駒なだけに、早期から動ける馬を出すには母父の芝マイラーから筋力やスピードを補強する必要があるということだろう。

チェルヴィニアの母父はキングカメハメハ。言わずと知れたNHKマイルC勝ち馬で、このパターンはモズカッチャンと同じ。配合的にはオークスで十分にやれるはず。

前走であまりにも何もなく敗れた点は気がかりだが、2歳時に見せたポテンシャルは間違いない。ルメール騎手が戻ってくるのが良い方に出れば、巻き返しがあっても驚けない。

あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。

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著者プロフィール

ドクトル井上
【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。

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