【茅ヶ崎 学びスポットレポ】茅ヶ崎市立図書館-素敵レトロな洋館、一際目を惹くデザインの謎

美しいデザイン、充実した設備に注目

茅ヶ崎市立図書館は昭和58年に開設され、今年で41年目を迎えます。高砂緑地、茅ヶ崎美術館、教会など周辺の街並みと樹々が絶妙に調和しておりとても素敵な外観です。

建物は誰のデザイン?

画像出典:湘南人

図書館の建物のデザインについて伺ったところ、残念ながら資料はほとんど残っていないとのこと。しかし、取材を受けてくださった担当の小原さんと橋村さんが、図書館に眠っていたアルバムや当時の資料を片っ端から集めてださりお話を伺うことができました。

建築会社は「勝村建設・大勝建設特別共同企業体」、設計事務所は「和(やまと)設計事務所」が施工に携わっていますが、現在すでにこの会社はありません。

大磯町立図書館の設計も担当しており、写真を見比べると雰囲気が茅ヶ崎立図書館とよく似ています。内観を見ると、読書机にある網代のついたてのデザインが同じです。

現在、茅ヶ崎市立図書館を建て替える予定はないとのこと。建て替えに関しては、同じ問い合わせを受けたことがあるそうで、多くの茅ヶ崎市民に愛されているんだなぁとあらためて感じました。

入口のツタは何という名前?

画像出典:湘南人

暖かくなってくると、狙ったかのように図書館の入口天井にはツタが張ります。これがまた緑の日除になって素敵なのですが、こちらツタがデザインに含まれているのかどうかは定かではないようです。

まるで絵本の中から出てきたような、一面に広がる葉っぱの屋根。この植物の名前は「むべ(郁子)」というのだそうです。

画像出典:湘南人

むべの実、見た目はアケビ風。食べることもできるそうです。こちらの実は毎年先着順でお裾分けしており、秋頃にSNSでお知らせしています。コアなファンからは直接お問い合わせもあるのだとか。期間中、図書館入口のドアを開けてすぐの踊り場で希望者に配布することもありますが、自然のまま咲いているので去年は鳥に食べられることが多く数が少なかったそうです。

巨大な窓から見える緑の森

画像出典:湘南人

一階の突き当たりにある大きなガラス窓からはうっそうとした緑が一面に広がっており、まるで茅ヶ崎とは思えないくらい美しく迫力があります。

実はちょっとした山になっていて、上がりきったところから美術館の敷地になっています。デザインキープのために特別なお手入れをしているというわけではなくありのまま。開設当初はもっと背が低く、若々しい緑が生える箱庭だったようです。写真を見ても、樹々の間から向こう側の風景が見えます。今はまるでジャングルの奥地のような迫力があります。

画像出典:湘南人

この窓は3か月に一度定期清掃が入り美しさを維持しています。職員さんの間ではピクチャーウィンドウ」と呼ばれており、ガラス越しに見る大きな一枚の絵をイメージしているそうですちなみにガラスは規格外のサイズ。

外観だけではなく内観も、センスが光る図書館です。

昔ながらの建物は吹き抜けなどの大きく広々としたデザインよりも、どこか細かく工夫されているような造りが多いです。

こちらの図書館の2階にはこぢんまりとした読書室とパソコンを使うための部屋があるのですが、この奥にチラリと廊下が見えます。

画像出典:湘南人

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図書館の秘密の部屋は書庫

2階の奥には会議室や資料を調べるための部屋があり、1階には子ども用のおはなし室がありますが、その他に一般の利用者は入れない部屋、秘密の部屋があるというのです。

それは書庫です。

画像出典:湘南人

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棚に置ききらなかった本、表には置いていないけどパソコンの検索で出てくるような本たちが眠る場所。地下1、2階、中1階にそれぞれあって、一般公開しているのは小学生の社会科見学、職業体験の時だけだそう。そんなにたくさん部屋があるなんて驚きです。

そのため見えるのはほんの一部。過去、ケンブリッジ州の図書館職員さんが来日したまたま茅ヶ崎図書館を訪れた際、建物の施設設備に感心し後日英国の図書館雑誌に紹介したというエピソードを伺いました。海外の方にも建物の造りやデザインを魅了する図書館です。

画像出典:湘南人

図書館には役割がある

画像出典:湘南人

近年、デジタル化が進むことで本の存在が危ぶまれています。図書館の数は人口の増加と共に増える一方、それと反比例して割かれる予算は年々減っています。予算と共に本が少なくなっているというニュースもありました。

茅ヶ崎市立図書館の本は収集方針をもとに選定し、情報が古くなっている本は都度除籍していきます。単に、よりたくさんの本を並べて貸し出す目的ではなく「100年後の人達に残したい本を保管し、本を守っていくという役割が図書館にはある」と力強い想いを伝えてくださいました。

役割は図書館法という法律に定められており、一般公衆の教養、調査研究等に寄与することを目的としています。

収集方針:https://www.lib.chigasaki.kanagawa.jp/TOSHOW/html/img/page_19/1702283119233.pdf

ちなみに、館内の写真撮影は年に1度、1週間かけて行う「蔵書点検」の日にご協力を頂きました。蔵書点検は全ての本のバーコードを読み込んで、図書館システムのデータと照合する作業。この日も膨大な量の本を1つ1つ、大勢の職員さんが手作業でチェックしていました。

本はコミュニケーションツールでもある

茅ヶ崎市立図書館では保健所で行われるすくすく7か月児 育児相談とのコラボ企画ブックスタートという活動をしており、おはなし室では絵本を通して親子のコミュニケーションを深めるために市民ボランティアの方による読みきかせを行っています。

絵本とオリジナルコットンバッグは参加者へプレゼント。このバッグを持って図書館に本を借りに来てね」というお子様への想いと「地域のみんなで子育てを応援しているよ」という子育てに奮闘するパパとママへのメッセージが込められています。本は親子だけでなく、それを支える地域との架け橋にもなっているのですね。

画像出典:湘南人

職員の方よりみなさまへメッセージ

画像出典:湘南人

最後に今回取材を受けてくださった、図書館を愛してやまない小原さんと橋村さんは

図書館はもっと気軽に、日々の気分転換にぜひご利用ください。勉強の合間の息抜きなどにふと立ち寄った時、人生が変わるような新しい本と出会うかもしれません。

とおっしゃっていました。

建物のデザインについて詳細はわかりませんでしたが、茅ヶ崎市立図書館の魅力はたっぷり伝わってきました。

図書館を利用するための図書カードは0歳から作ることができます。

100年後の人達に残したい本を」図書館は0〜100歳まで、人生にたくさんの彩りを与えてくれる本と出会う場所。それを守り続けてくれる茅ヶ崎市立図書館を、これからもみんなで愛していけたら素敵ですね。

画像出典:湘南人

【施設紹介】

【茅ヶ崎市立図書館】

◼️住所:〒253-0053 神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1丁目4−55

◼️電話番号:0467-87-1001

◼️営業日:火〜金曜日 9:00〜19:00

土日祝日 9:00〜17:00

◼️休館日:月曜日(祝日の場合はそれ以降の平日)

第3木曜日(祝日場合は開館)

年末年始、図書館特別整理期間

◼️駐車場:障がい者用のみあり

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