【新連載】こだわりの書店と店主おススメの本を紹介! 第1回は、“新しい問い(toi)”を与えてくれる「toi books」

突然ですが、皆さんは普段どのくらいの頻度で本を読みますか?「読みたい気持ちはあるけれど、忙しくてあまり読めていない…」という人も多いのでは。そこで今回から、気軽に本と親しめる大阪・神戸の書店と、その店主がおススメする本を紹介! 第1回目に登場するのは、本町にある「toi books」です。

目を引くキーワードを用いて、パッと目につきやすい本棚に

「toi books」は文芸を中心に、“新しい問い(toi)”を与えてくれる本をセレクトして置いている書店。店主の磯上さんは、「心斎橋アセンス」で書店員として働いたのち、閉店直後の2019年4月にこのお店をオープンしました。縮小する書店業界の中で「自身に何ができるか」と考えたときに、「お店を開くという結論にたどり着いた」のだそう。店内には、「良書を“ちゃんとおすすめ”したい」という磯上さんの思いから、新刊書を中心に、訪れる私たちが共感しやすく、〝新規性〟のある本が数多くそろっています。

そんな店内で最もこだわっているのが、「仕事ってなんだろう」などキーワードごとに本が置かれた棚。一般的には70センチほどの本棚の幅を約40センチと狭めに設定することで、書店に行ったときに起こりがちな「本が多すぎてどこを見てよいか分からない」という問題を解決しているのだとか。

また、店内ではトートバッグやファイルといった本にプラスした商品も展開。訪れた人が少しでも親近感を持てるよう、工夫を凝らしているのも特徴です。また、作家を招いた読書会やファンとの交流会などのイベントも実施。店頭以外でも、本に興味を持ってもらうためのきっかけづくりに力を入れています。

大阪メトロ本町駅から歩3分、堺筋本町駅から歩9分というアクセスの良さも魅力なので、気になる人は仕事帰りや休日のお出かけの帰りに、ふらりと立ち寄ってみてはいかが。

toi booksのおススメはこちら

磯上さんに、おすすめの本を2冊ピックアップしてもらいました。

著者の前向きな生きざまに触発される一冊

コーヒーにミルクを入れるような愛

くどうれいん著/講談社 1,705円

「わたしを空腹にしないほうがいい」で活動の幅を広げたくどうれいんによるエッセー集。読みやすく、みずみずしい言葉の端々に、「自分の人生を楽しんでやるぞ」という著者の気概を感じることができます。ときには泣き、七転八倒している著者の姿を見て、自然と「私も私自身の生活や人生を楽しんでいきたい」と思わせてくれます。就職や異動など生活がガラリと変わった人も多い今の時期だからこそ、環境の変化により沈みがちになった心に前向きなエネルギーを与えてくれます。


SNSについて、一旦立ち止まって考えてみる

SNSの哲学―リアルとオンラインのあいだ

戸谷洋志著/創元社 1,540円

創元社による「あいだで考える」シリーズの第一弾。ビジネス的なSNSの使い方ではなく、“SNSとはどういうものなのか、また、それによる影響や考え方は?”といったことなどについて、哲学的な観点を交えながら書かれた一冊です。「これがいい」と正解を決めてしまうのではなく、さまざまなグラデーションをきちんと捉えることで、自分の置かれている状況や考えを柔らかく受け止めるための助けとなってくれます。やさしい文体ではあるものの、大人が読んでも読みごたえのある内容になっていますよ。

「あいだで考える」シリーズは、ほかにも自分との付き合い方を改めて考えさせてくれる「自分疲れ―ココロとカラダのあいだ」や、障害や差別について書かれた最新作「能力で人を分けなくなる日―いのちと価値のあいだ」といった本も。


■今回紹介した書店は…

toi books

住所 大阪市中央区久太郎町3-1-22

営業時間 12:00~19:00(火・水・木曜は定休日)

電話番号 ℡050-5359-4448 詳細はWebで確認を。

https://toibooks.thebase.in/

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