廃線駅で昭和の車両に乗れる 下北交通大畑線「キハ85」運転会、19日から 旧大畑駅(青森・むつ市)

旧大畑駅構内を走行するキハ85=11日
動態保存するディーゼル動車、車掌車の前でポイント切り替えについて説明する福岡会長(右)=11日

 2001年3月に廃止となった下北交通大畑線の気動車を動く形で保存している「大畑線キハ85動態保存会」が、今年の一般向け運転会を19日から始める。本州最北の鉄路を走った、昭和の香り漂う車両を「楽しんでもらいたい」と呼びかけている。

 保存会によると、むつ市大畑町の旧大畑駅に残る3両のキハ85は、国鉄時代の1962(昭和37)年製。現在も走行できるのは2両で、このうち1両は国鉄時代のツートンカラーに復元している。車内には国鉄の英語略称「JNR」のロゴが入った扇風機や、下北交通時代の整理券発券機がそのまま残されている。

 保存会の会員は県内外の十数人で、手弁当で車両・線路の保守管理を行っている。運転会は2002年から毎年開催。新型コロナウイルス禍のため20~22年は中止したが、23年から再開した。

 運転会は保存会会員が運転し、旧大畑駅ホーム前の線路や車庫に向かう線路を15分ほど走る。切符形式の1日会員券(大人200円、子ども無料)を購入するとその日の全便に乗車でき、日付入りの切符も持ち帰れる。午前10時~午後2時半に7回運行する。

 保存会の福岡祐二会長(62)=同市=は「乗った方から『この車両で通学していました』『警笛の音が懐かしい』という声を聞く。できるだけ長く運転会を続けたい」と話した。

 11日には、全国各地で運転体験などを楽しむグループ「DAE12鉄道体験運転士会」による貸し切りイベントが行われた。全国から訪れたメンバー9人がキハ85を満喫。グループの矢吹耕一会長(53)=東京都=は「国鉄の古い気動車は非常に少なく、乗れるだけでも貴重。それを動くようにきれいに保存しているケースは全国を見てもなかなかない」と、保存会の活動をたたえた。

 運転会は6月16日、7月21日、8月25日、9月22日、10月20日にも開く。詳しくは保存会の公式フェイスブックへ。

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