土の中のCO2を閉じ込めろ…温暖化対策でミミズに注目 福井県立大学など共同研究

土壌を採集する参加者=5月11日、福井県福井市の足羽山

 地球温暖化対策につなげようと福井県立大学と福井市自然史博物館が連携し、二酸化炭素(CO2)を土壌に閉じ込める共同研究に取り組む。5月11日は同市の足羽山の土壌を調査。学生や生き物に関心がある子どもたちが参加し、土や土の中の生物を採集するなどした。今後定期的に調査を行って分析し、閉じ込め効果を高める土壌の管理方法などを探る。

 研究の中心となる福井県立大生物資源学部の角田智詞准教授によると、土壌中の炭素は微生物の働きでCO2に変わり大気中に放出され、温暖化の一因となると考えられている。ただミミズなど土壌生物の活動で炭素がミネラル分と結びつくと、CO2に変わりにくくなるという。

 このためミミズなどの生息に適した土壌管理の方法を探る足がかりとして、角田准教授らは約1年前から県内各地の土壌調査を展開。その一環で同博物館と連携し、足羽山で調査を行うことにした。

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 5月11日は、角田准教授や学生、同博物館の梅村信哉学芸員、博物館主催の昆虫講座を受講した小中学生ら19人が参加。角田准教授から採集方法などの説明を受けた後、山の中に入り活動した。25センチ四方の金属の囲いを地面に置き、その中の土を深さ30センチまで採集。スコップや手を使って土を掘り出し、袋の中に入れていった。土の中から出てきたアリやムカデなどの生物も集めた。

 足羽山で今後も定期的に同様の調査を行い、土壌中の生物の多様性や炭素量などを分析する。参加した男子児童は「思ったよりも生き物があまりいなかった。大変だったけれど、やり方が分かって良かった」と話した。

 角田准教授は「北陸を含めた日本海側ではこうした調査のデータが少ない」と指摘。足羽山以外の調査も順次進め「比較検討し、環境の保全と結びつけた研究を進めたい」と意気込んだ。

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