災害時の避難場所も天井が崩落したまま… 愛媛・高知で震度6弱の地震から1か月 被災地の今

愛媛と高知で発生した震度6弱の地震から17日で1か月です。復旧に向けた動きが進む一方で課題も見えてきました。被災地の現状を取材しました。

先月17日深夜に発生した地震では、愛媛県愛南町で震度6弱、宇和島市で震度5強の揺れを観測し、県内で9人がけがをした他、建物の壁が崩れたり屋根瓦が落ちたりするなどの被害が相次ぎました。

地震発生から17日で1か月。復旧が進む一方で各地に地震の爪あとが残されています。

宇和島市の商店街にある呉服店では、揺れの影響でショーウィンドウのガラスが割れ、店舗の入り口付近に散乱しました。現在もガラスがない状態での営業が続いています。

きもの泉屋 宇都宮裕さん
「修理を頼んでいるけど順番がこない。わざわざガラスを特注にしないといけない」

地元住民は、あらためて地震への危機意識を高めています。

宇和島市民
「これから地震対策をしておかないと、いつどうなるか分からないというのは実感しています」

宇和島市では、16日までに罹災証明書の届け出が147件寄せられていますが、全て最も程度の低い「一部損壊」の判定だということです。

こうした中、問題となっているのが空き家です。被害を受けた空き家は所有者の責任で修繕や安全管理が求められますが、市によりますと、被害が出たまま所有者が分からないものが少なくとも13軒あるといいます。

宇和島市空家対策係
「歩道に瓦がたくさん落ちて危険な箇所が数か所発生しています。所有者の適切な管理が必要になってきます」

一方、市が管理する1400人収容のホールなどを備える南予文化会館は、ホールの天井が崩落し、コンサートなどのイベントが開催できなくなっています。市は崩落の原因などを調べるため崩れた天井をそのまま残していて、5月中に現地調査を行い工事計画を検討する予定です。

市から管理を委託されている会社は…。
南予文化会館・奥野善文館長
「南海地震など大きい災害にも耐えられるような、安全な施設にしてもらいたい」

吊り天井は国の地震対策の基準が2014年に強化されていて、市は修繕するにあたり、基準に照らして落下対策を強化すると説明しています。

また、同じく吊り天井が崩落した宇和島市総合体育館は、地震から1か月たった今も崩れた天井が散乱していて、こちらでも予定されていた大学相撲の全国大会や小学生のバスケットボール大会など試合の中止が相次ぎました。

イベントの中止によって、ホテルでは団体客のキャンセルが相次ぐなど、経済活動にも暗い影を落としています。

地震で被害を受けた南予文化会館と宇和島市総合体育館。2つの施設はいずれも災害時の避難場所に指定されています。公共施設の強靭化がより一層、求められています。

また、今回の地震では海沿いの地域で地盤沈下による被害が相次ぎました。護岸が崩れ、仮復旧を行って使用している漁港もあり、住民から不安の声も上がっています。

地元住民
「次また余震がきた時、二次災害みたいにきたら怖い。一日も早く直してもらいたい」

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