ホンダジェット開発の藤野道格さん(弘前高卒)米航空宇宙学会賞 日本人初、ライト兄弟の弟が初代受賞者

米ワシントンで行われた授賞式に臨んだ藤野さん(中)=15日
主翼の上にエンジンを載せた設計により、低燃費と高速化を実現した「ホンダジェット」

 弘前高校卒で小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」を生み出した藤野道格(みちまさ)さん(63)=米ノースカロライナ州在住=が、航空業界の名誉ある賞「ダニエル・グッゲンハイム賞」を受賞した。米航空宇宙学会が航空業界の発展に寄与した個人に贈る国際的な賞で、日本人の受賞は初めて。15日、米国の首都ワシントンDCで授賞式が開かれ、藤野さんが記念のメダルを受け取った。

 同賞は1929年に設立され、ライト兄弟の弟オーヴィル・ライトが初代受賞者。米航空機大手・ボーイングの創業者も受賞している。

 藤野さんは弘前高校を卒業後、東京大学に進学し、航空工学を専攻。ホンダ入社3年目の86年に渡米し、飛行機開発に取り組んだ。

 開発に携わったホンダジェットは、主翼の上にエンジンを取り付ける独特の設計で知られ、高い燃費効率と居住性を実現した。スタイリッシュな外見も魅力で、米俳優トム・クルーズも愛用者の一人。米航空宇宙学会も「『主翼上面エンジン配置』が高性能と高効率をもたらした」と評価した。

 藤野さんは17日の東奥日報の取材に、「最初に渡米した時は『日本人に飛行機の設計ができるはずがない』という雰囲気があった」とした上で、「授賞式後に選考委員長から『これからの学生や航空機設計者のお手本(模範)だ』と言ってもらったのが特にうれしかった。アメリカに来た38年前には想像もできなかった」と答えた。

 藤野さんは2016年に東奥賞を受賞している。

© 株式会社東奥日報社