ヴィニシウスやロドリゴを獲得した敏腕スカウトとバルセロナの命運を握る新米SD【現地発】

今夏の移籍マーケットにおける最大の注目選手は、フランス代表のFWキリアン・エムバペだ。すでに今シーズン限りでのパリ・サンジェルマン退団を発表していて、かねてより噂されてきたレアル・マドリーへの移籍が現実味を帯びている。一方で、移籍市場の裏側で影響力、存在感を強めているスカウトやスポーツディレクター(SD)、クラブ幹部も存在する。

今回紹介するのはR・マドリーの「窓口」ともいわれるブラジル人チーフスカウト。そして、もうひとりは名門復活の鍵を握るバルセロナのデコSD(スポーツディレクター)だ。【ワールドサッカーダイジェスト4月4日号より転載】

■フニ・カラファト(R・マドリー・チーフスカウト)
生年月日/1972年12月19日(51歳)
国籍/ブラジル プロ選手経験/なし

世界最大級のクラブ(R・マドリー)において、チーフスカウトという役職を超えた権限を持つ51歳だ。

その背景にあるのは、自身が育った南米の出身者であるフェデリコ・バルベルデ、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴの獲得を成功させた実績があり、いまやR・マドリーに売り込みをかける代理人たちの“窓口”にもなっている。

つまりカラファトが首を縦に振らないかぎり、交渉そのものが始まらないわけだ。その素顔はベールに包まれているが、選手を口説き落とす会話術には定評がある。ドルトムントを何度も訪ね、ジュード・ベリンガムの獲得にも一役買った敏腕だ。

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■デコ(バルセロナSD)
生年月日/1977年8月27日(46歳)
国籍/ポルトガル プロ選手経験/あり

2023年夏のマテウ・アレマニー(バルセロナの前SD)に続き、シャビ監督の退任も決定。これに伴い、デコはバルセロナSD就任から1年も経たないうちに、強化部門の全権を手に入れることになった。ただし、前職である代理人としての実績はともかく、SDとしてのそれは皆無に等しい。

その後、一転してシャビの留任が決まったことで新監督探しのストレスからは解放されたものの、バルサは深刻な財政難に陥っていて、スカッド強化におけるミスの許容範囲が極めて限られている。その中で、デコは選手の売却&獲得における主導的な役割を果たしていかなければならない。

新米SDにとっては重すぎる責任が課されている。

文●セルヒオ・サントス(ワカイ・グループ)
翻訳●下村正幸

※ワールドサッカーダイジェスト4月4日号より一部加筆・修正。

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