生物の神秘にくぎ付け 金沢21美、透明標本展 週末、親子連れにぎわう

幻想的な標本に見入る来場者=金沢21世紀美術館

 金沢21世紀美術館で開催中の「冨田伊織 新世界『透明標本』展」(北國新聞社主催)は18日、週末を楽しもうとまちなかに繰り出した家族連れらでにぎわい、神秘的な作品が来場者を魅了した。骨格などが色鮮やかに表現された透明標本は、生物の身体の複雑な構造や機能的なデザインが分かりやすく浮かび上がり、生き物好きの子どもたちが目を輝かせて見入った。

 透明標本は本来、骨格研究などの学術目的で製作される。酵素などを使ってタンパク質や脂質を処理し、生き物の肉を透明化している。特殊な薬液に浸すことで、カルシウムを主成分とする硬骨は赤紫に、軟骨は青く染まる。

 展示では透明標本作家の冨田さんが、魚や甲殻類、は虫類など500点超の標本を紹介している。冨田さんは独自の技法で芸術性を高めた透明標本で国内外の注目を集めており、18日は来場者が魚やカエル、カメレオンといった多彩な標本を鑑賞し、アート作品のような美しさと生物の造形にくぎ付けとなった。

 光や音とともに、瓶に入れた標本を暗闇に浮かび上がらせる幻想的な展示も人気を集めた。冨田さんによる解説パネルを熱心に読み込む子どもも見られた。

 会期は26日までで、入場料は一般千円、中高生800円、小学生600円。

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