観覧者10000人突破 氷見「お菓子の美術館」 小松の森田さん「びっくり」

観覧者1万人目となった森田さん家族=氷見市芸術文化館

  ●「夢の世界」週末にぎわう

 氷見市芸術文化館で開催中の「お菓子の美術館~渡辺おさむスイーツアートin氷見~」(富山新聞社、北國新聞社主催)は18日、多くの家族連れらでにぎわい、観覧者数が1万人を突破した。来場者は本物そっくりの「スイーツ」で装飾された「夢の世界」を満喫し、幸せな気分に浸った。

 1万人目は小松市園町の稚松小3年森田環子(わこ)さん(8)。妹の理子さん(6)、珂子ちゃん(3)、瑛子ちゃん(1)の4姉妹と、母千春さん(39)、祖母式子さん(71)、伯母弘子さん(40)の7人で会場を訪れた。

 一家は北國新聞で展覧会を知り、会場に足を運んだ。環子さんは1万人目に「びっくりした」と話し、渡辺さんのサイン入りの作品写真集などを受け取った。

 「本物みたいですごい。おいしそう」。家族6人で訪れた高岡市木津小1年の高橋鈴奈さん(6)、弟の蒼ちゃん(2)は記念撮影を楽しんだ。展覧会に合わせメルヘンの「ガーリー」姿で富山市から訪れた西村空美さん(27)と裕衣さん(14)は「夢の国の世界みたい」と漏らし、富山市堀川小3年の堀江ももこさん(8)と大家知佳さん(8)は「お菓子の世界に入りたい」と話した。

 お菓子の美術館は現代美術作家の渡辺おさむさんが本物そっくりのカラフルな「スイーツ」で表現した展覧会で、思わず食べたくなる300点以上が並ぶ。会期は30日まで。

  ●自慢の自家焙煎コーヒー「復活」 被災の「彦右衛門」出店

 能登半島地震で被災した氷見市北大町の古民家カフェ「彦右衛門」が18日、「お菓子の美術館」の会場に出店した。店の状況を心配していた常連客が駆け付け、自慢の自家焙煎コーヒーを味わいながらオーナー夫婦との再会を喜んだ。

 彦右衛門は茶山彩さん(44)と夫の公伸さん(48)が営む。夫婦は8年前に横浜から氷見に移り住み、5年前に公伸さんの父の実家で築102年の土蔵造りの古民家を改装してオープン。自家焙煎コーヒーや紅茶、スイーツが人気だったが、地震の液状化被害で全壊、営業できなくなった。

 夫婦は同じ敷地で半壊した自宅で生活し、店を解体するか一部残して存続させるか結論を出せないでいる。被災後のイベント出店は3回目で、茶山さんは「声を掛けられなければ焙煎することもなかった状態が続いている気がする」と話す。

 コロナ禍に震災、そして異常気象に伴うコーヒー豆の高騰と苦境が続く。常連客と再会した茶山さんは「コーヒーの香りをかぐと、改めて好きなんだなと思う」と自分に言い聞かせるように言葉を結んだ。

 彦右衛門は19日午前11時~午後3時に出店する。

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