薬剤耐性菌の対策強化へ 県村山総合支庁、医師会などと連携

県村山総合支庁(資料写真)

 県村山総合支庁は本年度、細菌感染症の治療に使われる抗菌薬・抗生物質が効かない薬剤耐性菌の対策強化に乗り出す。薬剤耐性(AMR)は世界的な問題となっており、将来、大きな被害を及ぼす恐れがある。管内の地区医師会や医療機関と連携して発生状況などを確認し、適切な医療提供体制の確保を進める。

 厚生労働省によると、1980年代以降、抗菌薬の不適切な使用を背景に薬剤耐性菌が世界中で確認され始め、感染症の予防や治療が困難になるケースが増加している。日本では、抗生物質メチシリンに耐性を持つ黄色ブドウ球菌が出現し、それが原因となる感染症が広がりつつあるとする。

 耐性菌に対する治療は難しく、新たな抗菌薬の開発は減少傾向にあるという。対策を講じなければ、2050年までに世界で年間1千万人が死亡し、がんによる死者数を上回るとの予測もある。

 村山総合支庁は昨年度、山形市保健所などと協力し、山形大医学部付属病院や県立中央病院をはじめとする病院、郡・市地区の医師会、薬剤師会と「村山AMR等対策ネットワーク」を立ち上げた。現在は各医療機関でAMR対策を取っているが、情報共有を進めて管内全域で感染拡大防止に取り組む。

 本年度は管内のAMR発生状況を確認するほか、各医療機関の検査・抗菌薬使用状況について情報交換を行う。AMRの正しい知識や抗菌薬の適正使用に関する医療従事者向けの研修会も開催する。同総合支庁の担当者は、抗菌薬や抗生物質が風邪に効くという誤った考えを持っている人も多く、耐性菌の出現につながる恐れがあると指摘。「AMRをつくらない、広げないことが大切だ」と話している。

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