イライラして眠れないときの、とっておきの方法とは?自律神経の名医 小林弘幸先生がアドバイス

「長い時間眠れない」「早く目が覚めてしまう」など、睡眠の悩みを抱えていませんか。短時間でもぐっすり眠れて、翌日すっきり起きられる快眠テクニックを、自律神経研究の第一人者 小林弘幸先生に4回に分けて教えていただきます。最終回は、睡眠お悩み相談室です。

★前回はこちら★

<お悩み>夜中にトイレに行きたくなり、睡眠不足になりがちです

A 自律神経の乱れも要因。就寝1〜2時間前は水分を控えて

夜中に尿意で目覚めてしまうと、ノンレム睡眠→レム睡眠のサイクルが乱れて、熟睡感を得られません。夜間頻尿は自律神経の乱れも原因の1つになるため、入浴やストレッチなどで副交感神経優位の状態をつくりましょう。

就寝前には必ずトイレに行くだけでなく、水分を控えめに。膀胱が圧迫されるような締めつけのきつい下着も避けて。

<お悩み>トータルで6〜7時間眠れていれば、夜中に何度も目が覚めても問題ない?

A 睡眠時間は短くても中途覚醒しないほうがいい眠り

何らかの理由で寝ている間に何度も目が覚めてしまうと、長時間寝たとしても十分な休養になりません。

1〜2回程度ですぐに再び眠りにつけるのであれば、あまり心配はいりませんが、それ以上中途覚醒することが続いているのなら、寝入りの90分に深い睡眠がとれるよう対策を。最初に深い眠りにつけば、中途覚醒が減るでしょう。

<お悩み>ラジオや音楽を流しっぱなしで眠るのはよくない習慣でしょうか?

A 心地よく眠れているのなら問題ないでしょう

騒音のない静かな環境を整えることは、睡眠の質を上げるために大切な要素の1つとされていますが、ラジオや音楽などを聴くことで安心して心地よく眠りにつけるのであれば問題ありません。

ただし、流したままにしていると、寝ている間に交感神経を刺激して、中途覚醒しやすい状態になってしまいます。眠る直前に切るか、タイマーを利用して。

<お悩み>平日は十分な睡眠時間がとれません。どうしたら早く寝つけますか?

A 「寝なければいけない」という気持ちを捨てましょう

そもそも「十分な睡眠時間を確保するためには、早く寝なければいけない」という考えが、寝つきの悪さを招く原因になっているかもしれません。

特に睡眠力が低下してくる50代以降は、時間ではなく「ぐっすり眠れた」という質にこだわって。睡眠時間を気にせず、リラックスした状態で寝るほうが、翌朝スッキリ目覚められるはずです。

<お悩み>睡眠の質を上げるための寝具の選び方を知りたいです

A 自分が「気持ちいい」と感じられるものを選んで

睡眠の質を上げるために、寝具の素材や機能にこだわるのはいいことだと思います。それ以上に大切なのが、寝床に入ったときに自分が心地いいと感じられるかどうかです。

必ずしも高価であったり、高機能である必要はありません。寝具にこだわりすぎるとキリがありませんから、自分の「気持ちいい」という感覚を最優先して、いろいろと試してみてください。

<お悩み>寝酒はよくないと聞きますが、睡眠の質を下げずにお酒を楽しむ方法は?

A 就寝の3時間前までに適量を楽しみましょう

アルコールは熟睡を妨げる大きな要因の1つです。女性は40代以降、男性は30代以降、副交感神経の働きが低下するため、アルコールの飲み過ぎによる悪影響が若い頃よりも出やすくなります。

深酒はせず、ほどほどに楽しみ、就寝3時間前には飲み終えるのが◎。それ以降は、ノンカフェインの飲み物をとるようにしましょう。

<お悩み>悩み事があるとき、考え過ぎて眠れなくなってしまうことがあります

A 寝る前に悩みを紙に書き出してみましょう

悩みや不安な気持ちを抱えているときは、そのまま眠りにつかずに、短い日記をつけたり、心配事や悩みのタネを紙に書いたりして、一度すべて書き出してみましょう。思考を客観視することで、新たな気づきや発見につながります。

もし解決しなかったとしても、書き出したことで「また明日考えよう」と心が解放され、眠りにつきやすくなるでしょう。

イライラして眠れないときは、脳を直接冷やすのも◎

悩みがあったり、イライラしたりしているときは、たいてい脳の温度が高い状態になっています。そんなときは寝る前にタオルにくるんだ保冷剤などを使って、直接頭を冷やして。脳の温度とともに深部体温も下がり、寝つきがよくなります。

※この記事は「健康」2024年春号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


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監修者
順天堂大学医学部教授 小林弘幸

日本スポーツ協会公認スポーツドクター。 1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、 アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。『自律神経の名医が考案した ぜったい幸せになる話し方・伝え方』(主婦の友社)など著書が多数ある自律神経研究の第一人者。

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