【男性編】離婚後のひとり暮らしで実感した“自由と寂しさ”のリアル #4「逃げられないこと」

配偶者と離婚してひとり暮らしを始める男性は多いですが、窮屈だった結婚生活からひとりになった自由は言いようもないほどの解放と充実を感じます。

一方で、それまであまり手を出す必要のなかったことをひとりで切り盛りする必要も出てきて、大変だったり寂しかったり、自由には孤独もまたつきまとうもの。

「離婚後のひとり暮らし」を送る男性たちに、どんな現実なのか聞いてみました。

「離婚してひとり暮らしを始めてから、寂しさを紛らわせるために仕事に没頭していました。

子どもはいなかったけれど元妻のことは大事にしていたつもりで、パートで働いてくれることに感謝していたし、趣味のカラオケサークルに行くのもまったく止めませんでした。

そのサークルで知り合った独身の男性を好きになったとかで、『別れてほしい』と言われたときはショックでしたね。

もう心の決まっている妻を引き止めても意味がないし、と財産分与をきちんと進めて離婚しましたが、ひとりになると『捨てられた』とどうしても感じてしまい、引っ越した部屋にいても落ち着きません。

購入してふたりで住んでいたマンションは元妻がローンを払っていく約束で譲りましたが、俺がいた部屋でその男と幸せに暮らしているのかと想像すると本当に苦しくて。

マンションの近くに僕の親戚が住んでいて、『離婚して新しい男を引き込んだら住人に何を言われるか』と渋い顔をしていましたが、そんなことは元妻も十分承知しているはず。

それでも僕よりその男を人生のパートナーに選んだことがつらくて、仕事でも何でもいいから気を向けるものがないとやっていけませんでしたね。上司も同期も残業続きの僕を心配してくれたけど、自分のためと思えばやる気が出ました。

ところが、寝不足と栄養失調がひどかったせいか、ある週末にベッドから起き上がれないほど体がだるくなり焦りました。市外に住む両親に電話して来てもらうことになったけれど、『ひとり暮らしなら体調管理をしっかりしないと』と怒られましたね……。

若い頃ならこれくらいの無理はこなせたはずで、やっぱり年のせいか、と実感して余計に落ち込みました。

結局、体調は戻せず月曜日に会社に連絡したら『任せておいた仕事を○○に振ることになる。だから無理はするなと言っただろう』と上司にも怒られ、がんばったところで誰もほめてはくれないのだな、と虚しくなりました。

勝手に無理をして勝手に体調を壊した、と実感すると心細くて、ひとりで寝ていると寂しさばかり募るので女友達に電話して愚痴を聞いてもらいました。

僕の事情を知っている女友達は、『気持ちはわかるよ。でも自分を大事にすることが傷を癒やす最初だよ』と話してくれて、無理をするほどに離婚の痛みからは逃げられないのだなと実感しましたね。

それからは残業を減らして自分のペースに戻し、部屋も掃除して夜はゲームに熱中しています。ひとり暮らしは確かに寂しいけれど、そのぶん自由な時間が多いし好きなことを見つけて楽しんでいこうと思います」(42歳/営業)

離婚の痛みを忘れるために仕事に没頭したら体調を崩したなんて、社会人として失格と思う人も多いのが実際です。

必死になるほどに痛みが深くなるのは、離婚の悲しみと正面から向き合っていないせい。

無理をするより逃げずに自分を癒やしてあげる力が、生活を支える基本になります。

時間を上手に使い、メンタルを正しく維持する過ごし方を心がけたいですね。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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