カマルザマン「ドライのマップに変えた」と雨の決勝でベテランの技。Team Frontierは8耐トライアウト首位通過

 5月18~19日に開催された2024鈴鹿サンデーロードレース第2戦 インターJSB1000の決勝で2番手グリッドから優勝を飾ったアズラン・シャー・カマルザマン(Team Frontier)。チームとしても8耐トライアウトをトップで通過したが、初日にはマシントラブルもあった。

 Team Frontierは鈴鹿8耐に参戦するために鈴鹿サンデーロード第2戦にエントリー。ライダーには昨年同様に元Moto2ライダーでFIMアジアロードレース選手権(ARRC)に参戦しているカマルザマンを擁した。

 マシンは昨年と同様のBMW S1000RRだったが、17日の特別スポーツ走行ではマシントラブルがあり、「1周半しか走っていないんですよね」と上田昇監督。そのためタイムを残すことができなかった。鈴鹿サンデーロードは特別スポーツ走行、予選、決勝と3セッションしかないため、セッティングを詰めることができずに翌日の予選に挑むことになったのだ。

アズラン・シャー・カマルザマン(Team Frontier)/2024鈴鹿サンデーロード第2戦 JSB1000 8耐トライアウト 予選

 さらに、予選ではARRCのタイヤテストも兼ねて走っており、2種類のタイヤを履いていた。そのなかで終盤にアタックを行い、2分11秒428で2番手タイムを記録してフロントロウを獲得して見せた。

 上田監督は「1年ぶりに走る鈴鹿を思い出してもらって、アズランのレベルになると少し走ればフィーリングが戻ってくると思うし、鈴鹿は得意なのであまり心配はしていなかったですが、アタックラップが1~2周しかなくて大丈夫かなと思いました」と心配もあったが、ARRC開幕戦のASB1000レース1で優勝している彼を「楽しみにはしていましたし、その一端を見たかなという感じでした」という。

 予選でアタックをすることができたが、目的は8耐トライアウトの通過だ。上田監督は「トライアウトは通ればいいですが、やっぱり彼ぐらいのライダーになると勝利への欲もあると思うので、それを抑えるように監督としては『あくまでも通過だからな。でも、楽しく安全に走れば通過するはずだからよろしくな』と常に言い聞かせました」とも語った。

トップを走るアズラン・シャー・カマルザマン(Team Frontier)/2024鈴鹿サンデーロード第2戦 JSB1000 8耐トライアウト 決勝

 そして、翌日の決勝ではレースウイーク初の雨となった。スタートでは2番手につけたカマルザマンは、3周目に入ったホームストレートでトップに浮上して、8周のレースを制した。8耐トライアウトはトップで通過したことになる。

 カマルザマンは「いい感じだった。表彰台で終われて、ナンバー1だったからとてもハッピーだよ。一番重要なのはチームが鈴鹿8耐の参戦権利を得たことと良いリザルトを残せたこと。だから今日はチームとしてはいい結果だったよ」と喜びを語ったが、雨のレースはベテランの技を活かしていた。

「雨はとても難しかったよ。バイクは雨のマッピングのトラクションコントロールが働かなかった。だから、ドライのマッピングに変えて、自分の手で(アクセルワークを)コントロールしたんだけど、断然良かったよ。また、鈴鹿8耐用にセットアップを見つけていくことに努めたよ」とウエットコンディションのレースで本戦に向けて大役を果たしていた。

 上田監督も「BMWは2年目ですが、ウエットの走行は昨年の鈴鹿8耐の決勝中だけなんですよ。ある程度、そのときのデータをもとにエンジニアと一緒にマップを作り込んできましたが、アズランがドライマップに変えて、自分の手でトラクションをコントロールしていて、ベテランらしい機転を利かしていました」と振り返った。

 また、チームにとっても「本番に向けて、ウエットの貴重なデータが取れたので今日はすごく良いレースでした」といい、「(トライアウトのトップ通過は)嬉しいですね。Team Frontierは7シーズン目になりますが、1位を獲ったのは初めてなので、黒岩唯一総監督とふたりで大喜びでした」と笑顔を見せた。

 Team Frontierはトラブルで昨年の鈴鹿8耐は未完走で終えている。最後にカマルザマンは「僕たちは去年は技術トラブルでリザルトを残せなかった。だから今年はいい仕事をしてレースを完走することを願っているよ」とコメントした。

優勝したアズラン・シャー・カマルザマン(Team Frontier)/2024鈴鹿サンデーロード第2戦 JSB1000 8耐トライアウト 決勝

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