【台湾】頼新総統、AIや航空宇宙産業の推進表明[経済]

台湾の頼清徳総統は20日の就任演説で、台湾の経済・産業政策について、人工知能(AI)の活用を推進し「国力や経済力を高めていく」と強調した。ドローンや中・低軌道衛星など航空宇宙産業の発展を推し進めるほか、地域経済統合への参画を掲げた。

頼氏は「未来の世界を展望すると、至る所に半導体があり、AIブームが席巻している」と予測。一方で、現在の台湾は半導体の先端製造プロセスを掌握し、AI革命の中心に立っていると指摘した。

その上で、台湾が優位性を誇る半導体を基礎として「台湾を『AIの島』にすることを全力で推進する」と表明。AIの産業化を促進するとともに、AIのイノベーションの応用を加速し、産業のAI化を進めると強調した。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とネットゼロへの転換を通じて中小企業のグレードアップを図ることも掲げ、「スマートで持続可能な新たな台湾を打ち立て、台湾の第2の経済の奇跡を起こす」と訴えた。

航空宇宙産業については、台湾をドローンのサプライチェーン(供給網)でアジアの中心とする方針を表明。「次世代の通信である中・低軌道衛星を発展させる」と述べた。海洋産業の発展も推進し「国家の競争力を高める」と説明した。

地域経済統合への参画に関しては、「世界の民主主義国家と投資保障協定を結び、貿易パートナーシップ関係を深化させる」と説明。地政学的環境の変化がもたらす商機をつかみ、半導体、AI、軍事産業、セキュリティー、通信の「五大信頼産業」を発展させるとした。

このほか、量子コンピューターやロボット、メタバース(仮想空間)、プレシジョン・メディシン(精密医療)などに投資する考えも表明。投資環境の改善を続け、台商(海外拠点の台湾企業・経営者)の回帰投資や台湾企業の域内投資拡大を歓迎、奨励するとした。

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