【早出し】旧車の整備・復元に特化 山形トヨタ、山形に専門店開設

山形トヨタ自動車は旧車の点検整備やレストアの専門店「CRGカスタマイズファクトリー」をオープンさせた=山形市清住町2丁目

 山形トヨタ自動車(山形市、鈴木吉徳社長)は「旧車」と呼ばれるクラシックカーの点検整備やレストア(復元)に特化した専門店を、山形市清住町2丁目の旧清住店跡地にオープンさせた。ニーズはあるものの、事業として取り組む企業は東北でも少なく、県内だけではなく近隣県からの需要も見込む。旧車文化と整備技術の継承も狙う。

 店舗名は「CRG(クラシックカー・レストア・ガレージ)カスタマイズファクトリー」。全国で旧車人気が高まり、県内にも愛好者は多い。自走不能になっても車を大事に保管する人がいる。整備は市中の自動車整備工場の整備士が趣味で担うことが多く、復元技術を持つ整備士は少ない。

 同社は客に旧車の整備を依頼されることがあり、一般店舗で可能な限り対応してきた。ただ、旧車を扱ったことのない整備士がほとんどで、依頼を断ることもあった。市場調査したところ需要があると分かり、昨年春に清住店を閉めて改装し、旧車の整備経験が豊富なベテラン整備士2人を新規雇用し、50~60代の整備士4人体制で店を開いた。

 現代の車は電子制御が主流で、故障があればパーツごと交換することが多い。分解整備の経験が少ない若手整備士にとって、旧車は未知の領域だ。旧車を修理できるベテラン世代への期待は大きく、新店舗でGMを務める阿部義春さん(61)は「若い整備士に技術を伝えたい」とする。

 修理部品は既に流通していないケースが多く、専門店やオークションを通じ購入を試みるほか、客に部品取り用の車を用意してもらうこともある。それでも入手困難な場合は自作することを検討し、ベテランの力を結集して客の要望に応える考えだ。

 料金は車の状態によって違うため、事前に見積もりを出し、客の理解を得てから受注する。開店から1カ月たって口コミで情報が広がり、既に10台弱が持ち込まれた。数十年保管されていた車をレストアし、客に引き渡したケースもある。

 鈴木社長は「整備士不足で整備技術の継承が危ぶまれる中、旧車の点検整備やレストアの専門店を出す意義はある。車を大切にする人に役立つ店にする」と語る。愛好者が集い、旧車文化を育む場所にすることも目指す。営業時間は午前10時~午後6時。電話は023(643)1911。

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