定額減税 給与明細へ金額明記は、“増税メガネ批判”の反動?

5月21日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、6月から始まる定額減税について意見を交わした。

“増税”って言われるのがよほど嫌だったんでしょうね

政府は、6月から始まる所得税と住民税の定額減税について、企業などに対して給与明細に所得税の減税額を明記するよう義務づける方針を決めた。給与所得者約5000万人が対象の異例の措置となる。

いずれも減税を実感してもらうことが狙いだ。一方、企業などは対応を迫られることになる。

(寺島アナ)「給与明細に所得税の減税額を明記する方針ですが、田中さん、これはどうご覧になりますか?」

(田中氏)「政府も自分の成果を誇るつもりなんでしょうけど、僕が老婆心で心配するのは、実際に給与明細を見て“こんなに少ないのか!”と思ってさらに政府批判が増すことがないといいですけど。一斉に3万円を引かれるわけじゃなくて、何回かに分けるんですよ。課税基準に満たない人は一回で、ってこともありますけど、ある程度の所得がある人たちにとっては複数回にまたがってやるので、そこがどうなのかな?ってことですけどね」

(寺島アナ) 「もともとの所得税から、一人三万円分減税で差し引くってことですよね?」

(田中氏)「これ制度が複雑なんですよ。僕も今、簡単に言いたいんですけど……。森永卓郎さんもすごい長めの論説書いちゃって、読んだんですけど“森永さんも細かいところ分かってないんじゃ?”ってくらい難しい」

(寺島アナ)「これ政府としては、特に岸田総理からすれば、定額減税を決めた実感を給与明細で味わってほしいわけですよね?それなら項目を別にした方がいいのでは?」

(田中氏)「というか、減税じゃなくて給付金で配ればいいんです」

(寺島アナ)「そうですよね!」

(田中氏)「森永卓郎さんの論説によると、“増税メガネ批判”ってあったじゃないですか? だから給付金ではなくて、増税メガネって批判をかわすために減税にしたいのでは?と。だけど、給付金でやった方が早いのでは?減税でやってもありがたみがない形になって制度がすごい複雑で、人によって実感がばらばらになっちゃうから、“減税ウソメガネなんじゃないか?”と言われてます。例えば、子供二人で親二人で、現金12万円もらえた方が良くないですか?」

(寺島アナ)「給与明細に12万円がプラスされてたらありがたいですよね。今回は減税ですから、やってみないと分からないですよね」

(田中氏)「“増税”って言われるのがよほど嫌だったんでしょうね」

(寺島アナ)「ちなみに、給与収入が2000万円を超える人は対象外。一方、住民税の定額減税は一人あたり1万円。実質賃金が二十四カ月マイナスのなか、この効果がどうなっていくのか?」

(田中氏)「まあ、効果ないんじゃないですか?」

© 株式会社文化放送