県産サクランボ、今季予想収穫量「やや少ない」 平年比9%減の1万2100トン

 県などでつくる「県さくらんぼ作柄調査委員会」は21日、今季の県産サクランボの予想収穫量について、平年比9%減の1万2100トンで、「やや少ない」と発表した。二つの実が一体化し、出荷の対象外となる「双子果」が例年より多く、全体の収穫量から除外したことが影響した。昨年本格デビューした大玉新品種「やまがた紅王」は、目標の40トンを確保できる見通しとなっている。

 同委員会は17日、村山、置賜両地域の園地計48カ所で主力品種「佐藤錦」と県奨励品種「紅秀峰」の着果状況を調べた。実がまとまって付く部分の「花束状短果枝」1カ所当たりの着果数は1.6で、平年(1.8)を下回った。果実肥大は良好としている。

 予想収穫量は平年の収穫実績(1万3300トン)を基に、着果数や過去の収穫量を踏まえて算出した。平年と比べて「多い」(115%以上)から「少ない」(85%未満)までの5段階評価で、今年は「やや少ない」(85%以上、95%未満)とした。予想段階で「やや少ない」となるのは、2020年以来となる。

 サクランボは夏に翌年の実となる花芽が形成される。気温が高いと花芽が通常に成長せず、双子果が増えるという。規格外となるため、多くは摘果される。例年の発生率は1%程度だが、今年は全体の約5%に当たる700トンを見込み、全量を予想数量から差し引いた。特に「紅秀峰」での発生が多いとする。

 収穫盛期は「佐藤錦」が来月13~17日ごろ、「紅秀峰」が同20~25日ごろ、「やまがた紅王」が同18~23日ごろで、いずれも平年より5~7日程度早い。今月下旬に補完調査を行い、最新の生育状況を調べる。県農林水産部は「高品質生産に向けて指導を徹底する」としている。

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