農業用ダム内に水力発電所が完成 町の営農支援や二酸化炭素ゼロへ活用 福島県浪江町

テープカットし、請戸川水力発電所の完成を祝う増井社長(左から4人目)ら

 アクアコネクトなみえ(本社・横浜市)が、福島県浪江町の農業用ダム「大柿ダム」内に整備を進めていた水力発電所が完成した。町の営農支援や、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」につなげる。21日、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。

 名称は「請戸川水力発電所」。既存の水利設備を活用し、水車を回して発電する。既に発電を始めた。発電出力は約1400キロワットで、一般家庭約1700世帯分に相当する年間約600万キロワットの発電を想定している。

 発電した電力は固定価格買い取り制度(FIT)に基づき、JFEエンジニアリング(本社・東京都)の子会社「アーバンエナジー」に売電する。その後、町内の農業従事者や公共施設、民間企業などへの配電を検討している。将来的には地元の会社などにも電力を売る計画だ。

 農業用ダムの施設内に水力発電所が建設されるのは相双地方で初めて。JFEエンジニアリングと東京発電、請戸川土地改良区(浪江町)の3者が2022(令和4)年にアクアコネクトなみえを設立し、整備に取り組んでいた。

 竣工式ではアクアコネクトなみえの増井俊輔社長、請戸川土地改良区理事長の吉田栄光町長らがテープカットし、発電所の完成を祝った。内覧会も催された。増井社長は「地域のために電力の地産地消を目指していきたい」と決意した。

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