【ブログ】長島哲太&ダンロップに突撃。タイヤの違いってナンダ? 激戦必須なST1000も/カメラマンから見た全日本ロード第2戦もてぎ

 毎年、全日本ロードレース選手権をまわり、シャッターを切り続けるカメラマン「Nob.I」がお届けする『カメラマンから見た全日本ロード』。今回は4月13~14日に開催された第2戦もてぎです。

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当ブログをご愛読の皆様、ありがとうございます。

今シーズンは鈴鹿2&4が開幕戦となったため、もてぎは2戦目。
2戦目ではあるものの、JSB1000クラス以外は開幕戦となります。
いつの間にかシーズン毎に変わるゼッケンにも慣れ、自然と覚えられるようになっているのが不思議です。

それではいつものごとく、レース内容は編集部にお任せし、私の視点でお送りします。

昨シーズンはチャンピオン争いが最終戦までもつれ、しかもドラマティックな展開で幕を閉じたST1000クラス。
このウイークを終えた時点でその流れは今シーズンも続きそうだと思い、気を引き締め直して臨んでいく必要があると再認識しました。
激戦必須なST1000クラスの主な選手を紹介します。

まずは、初優勝、國井勇輝選手(SDG Team HARC-PRO.)

長島哲太選手へ突撃する前は、苗字のヨミが同じ、迷(?)サードのように、「スーッと来た球をガーンと打つ」的な抽象的な説明だったらどうしよう?」とか、「そもそも、このような質問をして良いのか?」という不安がありましたが、いざ質問してみると、とても親切かつ分かりやすく説明していただき、私の中で好感度が爆上がりです。
大声では言えませんが、長島哲太選手の挑戦を心の中で応援することにします。

もう少しタイヤについて知りたくなり、理解を深めるために向かった先は……

パドック内にあるタイヤサービスのピット

ダンロップのタイヤサービス!

またまた突撃取材にもかかわらず、親切丁寧に説明していただけました!

タイヤサービス担当者、小野裕明さんに突撃取材!

(以下、小野裕明さんを「小」と記載)

私)そもそも、公道用タイヤとレース用タイヤは何が違うのでしょうか?

小)グリップ力と寿命(ライフ)が異なります。レース用タイヤは周回数分だけ走り切れれば良いため、グリップ力を高めてライフを犠牲にしています。一方、公道用タイヤがすぐ減ってしまったらタイヤの用途を満たせませんので、ライフが長持ちするように設計されています。

私)(スリックタイヤを触らせてもらって)こんなに硬いんですか?

小)今触られたタイヤは、それでも柔らかい種類です。溝がないため、余計にそのように感じるのかもしれません。レース用タイヤは適切な温度(80~100度)まで温めて使用するのが前提です。温めることによって表面のゴムが溶けて柔らかくなり、その粘着性によって路面をグリップします。温まるとトリモチのようになります。

ST600の転倒車両。草がタイヤに張り付く、その粘着性

私)そんなに高温になるのですか?それでは、今シーズンの鈴鹿2&4(3月)は寒くて、タイヤには大変厳しいレースだったのではないでしょうか?

小)その通りです。公道用タイヤは常温でもグリップしますが、レース用タイヤは常温では硬く、先の通り適温まで温めなければその性能を発揮できません(グリップしません)。あまり知られていませんが、気温が低い場合、レース用タイヤは落下等の衝撃によって割れてしまうことがあります。ホイールにはめるだけでも割れてしまうおそれがあるため、先の鈴鹿2&4では大変気を遣いました。

タイヤ取付け作業中

私)長島哲太選手が担っているタイヤ開発ですが、具体的にはタイヤの何を変更しているのでしょうか?

小)いわゆるコンパウンドと呼ばれるゴム材料の配合や、カーカスと呼ばれる、「タイヤの骨格」になる糸の太さやその編み込みの間隔、タイヤの断面形状などを変えて、タイヤの「たわみ具合」を変更しています。選手目線で表現すると「タイヤの潰れ具合」を変更しています。現在は長島哲太選手が「こういう風に走りたい」という希望を叶えるため、彼の意見を取り入れたタイヤをレース毎に用意しています。

トラック複数台でタイヤを輸送

……タイヤの世界も相当奥が深いようです。
曖昧な知識しか持ち合わせていませんでしたが、今後の撮影にも活かせるインタビューとなりました。

いかがでしたでしょうか?
突撃取材にもかかわらず、おふたりとも親切丁寧に説明してくれました。
この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
当ブログが、皆さんの今後の観戦に役立てば幸いです。

個人的にもレースを撮る楽しみが増えた一方、被写体への知識不足を痛感したのも事実です。
今シーズンは記者の真似事のようなことをさせてもらっていますが、記事を執筆するには取材はもちろんのこと、自分の知識、そして、それらをまとめてアウトプットする文章力が必要です。
編集部がさらりと書いている記事も、膨大な経験があってこそであり、コンビを組んでいる編集部員へのリスペクトも増したもてぎラウンドとなりました。

次戦は何が待っているのでしょうか……お楽しみに!

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優勝した國井勇輝選手
岩戸亮介選手(左)作本輝介選手(右)
國峰啄磨選手
豊島怜選手
荒川晃大選手。だいぶ大人っぽくなった気がする
渡辺一馬(Astemo Honda Deam SI Racing)/2024全日本ロード第1戦鈴鹿2&4 JSB1000
長島哲太選手!
水野涼選手(ブリヂストン)の方が潰れているように見える?
走行後の打ち合わせ
V字にてレース前半。レース前半と後半では走行ラインが異なっていた
V字にてレース後半
2022年MotoGP日本GP。タイヤはミシュラン

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