「給与明細に明記」1人4万円の定額減税 いつからどうやって控除される?知ってるようで知らない「所得税」と「住民税」の控除のされ方

6月に始まる定額減税。

5月21日に行われた内閣官房長官記者会見で、林芳正内閣官房長官は「33年ぶりの高水準となりました春闘の賃上げに加えて、1人4万円、所得税・住民税の減税を行い、可処分所得を下支えすることにより、物価高を上回る所得の実現に繋げてまいりたい」との発言があった。

また、一部報道にあった給与明細への記載について、林官房長官は「デフレマインドの脱却にするに繋げていくためには、国民の皆様がこうした政策の効果を実感できるようにすることが重要であり、所得税の大減税額について源泉徴収義務者において、給与明細に明記していただくこととしております」と述べた。

定額減税はどのような仕組み?

インターネットで「定額減税」と検索すると、トップに国税庁の定額減税特設サイトが出てくるが、それによると1人につき「3万円」との記載がある。

一方、総務省のホームページには、本人、配偶者を含む扶養親族1人につき「1万円」との記載がある。

4万だったはずなのに、どちらが正しいのだろうか…。

実はこれはどちらも正しく、内閣官房のホームページには「1人につき、所得税額から3万円・個人住民税所得割額から1万円の定額減税額が控除されます」と記載がある。

つまり、所得税を所管する国税庁としては、3万円の減税、住民税を所管する総務省としては、1万円の減税となるから、それぞれのホームページで“正しい情報”を記載しているわけだ。

どう減税される?「所得税」と「住民税」

定額減税の対象者は、所得が給与収入のみの場合、その給与収入が2000万円以下の者に限られるとのこと。

所得税と住民税に係る定額減税は、会社員・公務員等の給与所得者、公的年金等の受給者や、個人事業主・フリーランス等の事業所得者それぞれの場合について、以下のとおり取り扱われる。

▼▼▼ 給与所得者(会社員・公務員等) ▼▼▼

【所得税・1人3万円分】
給与所得者は、6月1日以後、最初に支払われる給与又は賞与で源泉徴収される所得税から控除される。控除しきれない金額は、以後、2024年中に支払われる給与又は賞与から源泉徴収される所得税から順次控除される。

【住民税・1人1万円分】
給与所得者は、6月分の住民税は徴収されず、定額減税後の税額が2024年7月分~2025年5月分の11か月で均して徴収される。

▼▼▼ 公的年金等の受給者 ▼▼▼

【所得税・1人3万円分】
6月1日以後、最初に支払われる公的年金等で源泉徴収される所得税から控除される。控除しきれない金額は、以後、2024年中に支払われる公的年金等から源泉徴収される所得税から順次控除される。

【住民税・1人1万円分】
定額減税「前」の税額をもとに算出された、2024年10月分の特別徴収税額から控除され、控除しきれない場合は、2024年12月分以降の特別徴収税額から、順次控除される。

▼▼▼ 個人事業主等の事業所得者 ▼▼▼

【所得税・1人3万円分】
原則として、2024年分の所得税の確定申告(2025年1月以降)の際に所得税額から控除される。
予定納税の対象者については、確定申告での控除を待たずに、2024年6月以後に通知される予定納税額から納税者本人分に係る金額が控除される。同一生計配偶者又は扶養親族に係る金額については、予定納税額の減額申請の手続により控除可能。

【住民税・1人1万円分】
定額減税「前」の税額をもとに算出された2024年10月分の特別徴収税額から控除され、控除しきれない場合は、2024年12月分以降の特別徴収税額から、順次控除されます。

また、気になる「定額減税しきれない場合の給付金」については、個人住民税を課税する市区町村が定額減税しきれない差額を給付する、とのことだ。

場合によっては調整給付で、4万円がまさかの“約5万円”に…?

この調整給付金については、所得税、住民税でそれぞれ減税しきれなかった金額分を合算し、1万円単位に切り上げて給付する、とのことだ。

つまり、レアケースになるが場合によっては、39999円分が減税され、1円分が減税しきれないと、なんと調整給付として1万円が給付され、結果、減税分と合わせて約5万円が得られたことになる。

5月13日の政府与党連絡会議で、岸田総理は冒頭「1人4万円の所得税・住民税の定額減税を行い、物価上昇を上回る所得を必ず実現してまいります」と述べている。

定額減税に限らず「物価上昇を上回る所得」に期待したい。

国税庁のホームページにはどう記載?

所得税で控除しきれない分はどうなる?給与明細へはどう記載される?

一方、総務省のホームページには…?

【総務省回答】そもそも、給付でなくて減税にした理由は…?

国税庁と総務省のホームページを比べてみると…合わせて4万円

【グラフで見る】実質賃金は2年連続減…

© 株式会社あいテレビ