ときにユーモラスに、ときにシニカルに東京の変遷を見つめた 大西みつぐ写真集『TOKYO EAST WAVES』

By CAPA編集部

大西みつぐさんの写真集『TOKYO EAST WAVES』が発売された。

■収録内容 (タップ/クリックで拡大します)

大西さんは東京・深川に生まれ、一貫して独自の視点で東京の変遷を撮影してきた。本書は1980年代から90年代にかけ、ネガカラーで収めた写真を再編集している。その視点は、通りすがりの傍観者のように、一定の距離感を持って被写体を見つめるのだが、ときにユーモラスで、ときにシニカルだ。

モルタル造りの建物は大西さんが好む被写体の一つで、年輪を感じさせるくすみとひび割れが良い味わいを醸し出す。海外からウサギ小屋と揶揄されたことがあったが、この住環境と人々の暮らしは不可分であり、その後、私たちは望んで大切なものを手放していく。

街の中に当たり前にあった看板の字体から、その時代の雰囲気がありありと立ち上ってくる。街角で選挙演説する一群や、行楽に興じる人々の姿はどこか滑稽さを醸しながら、人間本来の姿を肯定的に捉えている。巻末には大山顕さんと土田ヒロミさんのテキストを収載。それぞれ異なる作品の解釈が示されており興味深い。

大西みつぐ『TOKYO EAST WAVES』

体裁 A4判変型・144ページ
価格 6,600円(税込)
発売日 2024年3月20日
発行 ふげん社

大西みつぐ (Mitsugu Ohnishi)

1952年、東京都深川生まれ。第22回平凡社太陽賞、第18回木村伊兵衛写真賞、2017年日本写真協会賞作家賞を受賞。専門学校や大学などで教鞭を執りながら、作家活動を続けている。個展、作品集多数。最新刊に『TOKYOEAST WAVES』(ふげん社)。日本写真家協会、日本写真協会会員。
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〈文〉市井康延

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