羽生結弦さんとネイサン・チェンさんの比較記事に中国ファン不快感

日本のメディアが掲載したフィギュアスケーター・羽生結弦さん(29)とネイサン・チェンさん(25)の比較記事に、中国の羽生さんのファンから不満の声が上がっている。

日本のメディアが掲載したフィギュアスケーター・羽生結弦さん(29)とネイサン・チェンさん(25)の比較記事に、中国の羽生さんのファンから不満の声が上がっている。

中国のSNS・微博(ウェイボー)でスポーツ情報を主に扱うブロガーは19日、「NEWSポストセブン」による両者の卒業論文の比較記事を紹介した。

「《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文」と題された同記事は、「羽生さんが早稲田大学の卒業論文で、きちんと回転していないジャンプが見極められていない現行の採点ルールを批判し、モーションキャプチャーを活用した新たな採点方法の可能性を探った一方、ネイサン・チェンのイェール大学の卒業論文は現行の採点ルールの中でどのようなジャンプ構成にすれば最も高得点が狙えるかを解析したもの」と説明した。

そして、「匿名のフィギュアスケート関係者」の話として、「視点は正反対。いまなお世界最高得点を保持するネイサンが指南する高得点を取る方法は現役選手にとっても魅力的な一方で、自身と対立する論文を提出された羽生さんにとっては屈辱かもしれない」などと伝えた。

同ブロガーは「これはつまり、ネイサン・チェンは(得点を取るための)技術を重視し、羽生は(正確性を含む)美しさを好むという意味だ」と解釈した上で、「羽生のピーク時には技術的にも他をリードしていた。彼は(演技としての)美しさだけを強調していたのではない。でなければ、なぜ北京の時の彼は4A(4回転アクセル)(への挑戦)を大々的に宣伝していたのか」と疑問を呈した。

中国のファンからは「なぜわざわざ論文を比較する?。日本の記者はどうかしてる」「羽生くんの論文はもともとルールにおいて技術を正確に判断することを主張するもので、ネイサン・チェンの論文とどこが対立しているのか分からない」「日本のメディアって前から羽生くんへの悪意に満ちているよね」「羽生選手を絡めないと誰にも読んでもらえないからだろう」「『永遠のライバル』とか『衝撃』とか『屈辱』とか、日本の週刊誌は一貫して刺激的な言葉を使って彼をおとしめる報道をしてきた」「選手によって視点が異なるのは正常なこと。ともかく、日本のゴシップメディアの彼に対する言葉遣いから、日本のスケート界の彼への態度がうかがい知れる」といった批判的な声が上がった。

一方、「羽生はAIによる採点の補助について技術的な面から書いたんだ。美しさと何の関係が?」「羽生の論文は美しさがどうこうと言っているんじゃない。読んでいないんじゃないか?」「ネイサン・チェンの卒論は現行の採点方式の中で得点を最大化するということだろう。羽生の論文は美しさを強調しているのではなく、現行の採点ルールでは客観的に判断されていない問題を指摘したもの。なぜ『羽生は技術が足りず、美しさで補っている』という印象を与えようとするのか」など、同ブロガーの解釈に疑問を呈する声も。

このほか、「羽生くんは技術を追求した上でそれを美と融合させようとしてきた。(フィギュアは)ジャンプだけ飛んでいればいいというものではない」「ジャンプの美しさと技術は関係性があり、GOEで加点される。しかし、審判は技術ではなく人や国籍を見て点数を付けている。そこが問題」「フィギュアスケートのルールは頻繁に変わるし、採点が審判の個人の裁量によるなど人工知能(AI)に比べて遅れている部分がある。羽生の提言は今後考えていかないといけない問題」と指摘する声もあった。(翻訳・編集/北田)

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