7月4日にイギリス総選挙、 スーナク首相が発表

イギリスのリシ・スーナク首相は22日、今月末に議会を解散し、総選挙を7月4日に実施すると発表した。前回の総選挙は2019年12月で、イギリス政府は2025年1月末までに総選挙を実施する必要があった。

雨の中、首相官邸の前に立ったスーナク首相は、与党・保守党による経済政策の成果などを強調したうえで、5月30日に議会を解散する許可をチャールズ国王から得たと発表。世界情勢が不安定な時代において、保守党政権によるこれまでの成果をさらに積み上げていくのか、最大野党・労働党が示す不安定に戻るのか、国民が選ぶ時が来たと述べた。

スーナク首相は、「私たちがこれまでどれほどの事態をくぐりぬけてきたのか、忘れるのは簡単」だとして、新型コロナウイルスのパンデミックや、ロシアによるウクライナ侵攻と、それがイギリス国民にもたらした光熱費などの物価高騰に言及。そのうえで、自らの保守党政権のもとでイギリス経済は成長を続け、インフレ率は正常に回復し、金利も低下し、経済政策は奏功していると強調した。

首相は、「どのような成功も、経済の安定が基盤になる」として、イギリス国民は「これまで築いてきた未来をもとにさらに積み上げるか、振り出しに戻る危険を冒すか」の選択を迫られているのだとして、自らの保守党政権は不安定な世界状況において、明確な計画があると述べた。

それに対して最大野党・労働党は「何を提案しているのかわからないし、正直言って、皆さんもわからないのだと思う」と首相は批判。「私が率いる保守党政権は、この国の経済の安定を危険にさらしたりしない」とも述べた。

総選挙が予想されていたよりも早く実施されることになったことを受け、保守党の一部でも混乱がみられた。

保守党議員の一人は「理解できない」とBBCに語った。「経済はよくなっている。その効果が出るまでもう少し待つべきだ」。

「国が待ちわびていた瞬間」=最大野党党首

スーナク首相の発表を受けて、労働党の党首、サー・キア・スターマーは「これこそ、この国が待ちわびていた瞬間」だとロンドンで演説。今回の総選挙はイギリスに変化をもたらし、より良い未来を確保する機会になるとした。

スターマー党首は、2010年から続く保守党の長期政権によってイギリスは不安定になり、地域社会の可能性が失われてしまったと批判。保守党の 「混乱」が経済に打撃を与えたとした。

そして、労働党にはイギリス再建のため、予算措置がすべて計上済みの長期計画があり、それをもとに国境警備を強化し、生活費を引き下げ、治安向上や教育への投資を推進すると述べた。

スターマー氏はそのうえで、保守党政権がさらに5年続けば、「(保守党は)今までとまったく同じように振る舞う権利を得てしまう」、「何も変わらない」と批判。労働党が政権を握れば「党よりも国を優先する」と強調した。そして、労働党への一票は「混乱を食い止める」一票になるのに加え、総選挙は「この国の経済と政治をリセット」する「変化の時」になると呼びかけた。

スターマー党首は、「この国の未来が、皆さんの手の中にあります」、「7月4日に、皆さんには選択肢があります。一緒になって混乱を食い止め、ページをめくり、イギリスの再建に着手し、国に変化を実現できます」と強調し、国民の支持を求めた。

BBCが追跡している12社による世論調査の平均によると、5月20日までの2週間の調査結果では、「総選挙が明日行われた」場合、保守党に投票すると答えたイギリスの有権者は約23%。この数字は、2022年10月にリズ・トラス前首相が辞任した当時から、最低レベル。

保守党のこの支持率に対して、労働党は21ポイント、リードしている。

他の野党の反応

他の野党のリーダーらも、総選挙の日程が示されたことを受けて発言した。

今月上旬にスコットランド第一大臣(首相に相当)に就任した、スコットランド国民党(SNP)のジョン・スウィーニー党首は、「保守党政権を倒し、スコットランドを第一に置く」チャンスだと述べた。

自由民主党のエド・デイヴィー党首は、「リシ・スーナクのひどい保守党政権を退陣させる」機会だと主張。緑の党のカーラ・デニヤ共同党首は、同党から少なくとも4人の新人議員を当選させると抱負を語った。

リフォームUKのリチャード・タイス党首は、保守党が「イギリスを崩壊させた」とし、労働党も「イギリスを破産させる」だろうと主張。自らの党だけが「イギリスを救うことができる常識的な政策」を提供すると述べた。

(英語記事 Rishi Sunak announces 4 July general electionRishi Sunak announces UK general election for Thursday 4 July)

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