地域おこし協力隊の県内定住率、全国下回る 23年度60.9%、現状打破へ初の研修会

充実した活動や将来の定住に向け、主に1年目の地域おこし協力隊員を対象に初めて開いた研修会=山形市・やまがたクリエイティブシティセンターQ1

 地域おこし協力隊の2023年度の県内定住率が60.9%と、全国平均の64.9%を下回ったことが総務省のまとめで分かった。前年度比でも低下し、任期途中で辞める例もある。県は充実した活動とその先の定住を見据え、主に着任1年以内の隊員を対象に22日、山形市で初の研修会を開いた。心構えや地域との関わり方に理解を深め、つながりをつくってもらう内容で、秋にも新隊員向けに開く。

 23年度の定住率は青森を除く東北各県で全国平均以下だった。本県の隊員数は23年10月1日時点で151人、24年度は4月1日時点で133人。募集中(予定含む)を合わせると約190人に上る。県移住定住・地域活力創生課は現状について「任期途中で辞めるケースが増えている印象だ」とし、「隊員の理想と現実とのギャップが原因の可能性がある。充実した活動でミッションを達成してもらうことが将来の定住につながる」と分析した。

 研修会はやまがたクリエイティブシティセンターQ1で開き、15市町から30人が参加した。全国で自治体の協力隊導入を支援する「合作」(鹿児島県)の副社長・西塔大海(もとみ)氏(中山町出身、福岡県在住)が講師を務めた。

 制度や隊員が抱えやすい悩み事について説明し、自身の隊員経験を踏まえ、心構えとして(1)最初に指示されたことに本気で取り組む(2)報連相(報告、連絡、相談)(3)予算の流れや活動費の仕組みを知る(4)自ら敵を作らない―を挙げた。最後に最長で3年間の活動には「『信頼』という地域通貨が必要。1年目は信頼を貯金しよう」と呼びかけた。

 西川町に4月に着任した横山崚平さん(24)=長野県出身=は「同じような不安を他の人も感じていると分かり良かった」と話した。昨年5月から河北町で活動する大岩月美さん(30)=宮崎県出身=は「他の地域で活動する隊員と知り合うことができ、有意義な機会だった」と語った。

 県は23日には市町村職員向けの研修会を開く。

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