ザ・ファントムギフトやザ・ストライクス、グレイトリッチーズなど数々のミュージシャンの写真を撮り続けている写真家・大西基の写真展『夢うつつの日々 1987年バンドブーム前夜』が開催

大西 基「1987.1.27 ザ・ファントムギフト」©Ohnishi Motoi 1980年代から現在に至るまで多くのミュージシャンの写真を撮り続けている写真家・大西基の写真展『夢うつつの日々1987年 バンドブーム前夜』がギャラリーヨクト(東京都新宿区四谷)で開催される。 今回は、1987年から1988年にかけての雑誌の取材で撮影したミュージシャンのポートレートを展示。 ザ・ファントムギフト、ザ・ストライクス、グレイトリッチーズ、THE LONDON TIMES、ローザ・ルクセンブルグ、大槻ケンヂ、人生、遠藤ミチロウ、G-Schmitt、エレファントカシマシ、有頂天、THE ZOLGE、山口冨士夫などを予定している(写真はザ・ファントムギフト)。

大西基コメント

今年の3月、旧知のバンドマンが死去した。当時のスタッフから連絡があり、昔撮った写真を探して送った。その写真は多くのSNSで使われた。記憶を辿れば、その写真はバンドでの撮影が終わったあと、彼自身の求めに応じて3回だけシャッターを押したうちの1枚だった。自分でも撮影したことを忘れていた写真が、37年経ってから多くの人の目に触れたことに、奇妙な感覚を覚えた。

1987年初冬、カメラマンとして独立した私は、音楽雑誌での撮影がメインとなった。それは、ほとんど偶然の出来事だった。撮影を重ねて行くうちに、ロックバンドという特異な存在に惹かれていった。現実ではあるけれども、現実ではない夢の世界に連れて行ってくれるような彼らのライブステージ。そのイメージを現実の風景の中で表現(撮影)すること。その作業に夢中になっていた私は、まさに「夢うつつ」の状態にいたのかも知れない。

スタートしたばかりの未熟なカメラマンが、「夢うつつ」の状態で、生まれたばかりのロックバンドを撮った写真。それは案外、ロックと写真のヒミツを捕らえているかも知れない。と言ったら、自画自賛が過ぎるだろうか。

【大西基(おおにし・もとい)プロフィール】

1959年生まれ。1981年東京造形大学映像専攻卒。1987年よりフリーカメラマン。主に音楽雑誌で国内、海外のミュージシャンを撮影。

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