陣羽織仕立てる 福島県南相馬市の川井さん 相馬野馬追に出陣する親族のために

おいに陣羽織を贈った川井さん

 福島県南相馬市原町区の川井テル子さん(78)は、25日からの相馬野馬追に出陣する親族のため陣羽織を仕立てた。「一家の家紋を背負って活躍してほしい」と思いを込めて制作した。

 陣羽織を贈ったのは、中ノ郷騎馬会所属でおいの稲田徳さん。5月に前倒し開催される〝新生相馬野馬追〟を新しい装いで迎えさせてあげたい、と制作を決意。1月から縫い始めた。古い着物や帯をほどき、心を込めて針を布に通した。涼しく、動きやすい構造を意識して陣羽織の横は糸でつなげて大きさが調整しやすく、風通しをよくした。

 金色と銀色の2着を仕立てる予定だったが、親族の入院などで立て込み、5月になってようやく銀色の陣羽織が完成した。川井さんは「陣羽織を縫うことで、伝統に少しでも貢献できるとうれしい」と話した。

 川井さんが陣羽織を制作するのは3着目。東日本大震災後も野馬追に出場を続けていた稲田さんの力になるため、1着目を制作。2021年に新調してもらおうと、2着目を贈った。

(相双版)

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