【米大統領選2024】 共和党指名争い撤退のヘイリー氏、トランプ氏への投票を表明

サム・カブラル、BBCニュース

2024年米大統領選に向けた野党・共和党の候補者選びから撤退したニッキー・ヘイリー元国連大使は22日、11月の本選でドナルド・トランプ前大統領(共和党)に投票するつもりだと述べた。

トランプ政権下で国連大使を務めたヘイリー氏は、共和党の候補者指名争いで唯一、トランプ氏に対抗していたが、3月に撤退を表明した。

当時、トランプ氏への支持は表明しなかったが、自分を支持していた数百万人の票の獲得に向けて努力するよう同氏に促していた。

ヘイリー氏は22日、指名争い撤退後初めて公の場に登場し、トランプ氏は「完璧ではない」が、ジョー・バイデン現大統領は「大惨事だ」と述べた。

トランプ氏を支持しない共和党派の有権者は今年初め、ヘイリー氏の出馬を後押ししていた。指名争いから退いて2カ月以上たった今も、ヘイリー氏は支持を集めている。この2週間に行われた少なくとも2州の予備選で、候補者として名前が残っているヘイリー氏は20%以上の票を獲得した。

バイデン陣営は、ヘイリー氏を支持する共和党員を取り込もうと模索している。ヘイリー氏の支持者には、選挙の流れを民主党側へ引き寄せる可能性のある、穏健派と大卒の無党派層が混在する。バイデン氏は、ヘイリー氏を支持する有権者は「必要ない」とトランプ氏が繰り返し明言していると主張している。

最近では、ヘイリー氏を副大統領候補に検討しているとのうわさを、トランプ氏は一蹴している。

トランプ氏は「完璧ではない」が、バイデン氏は「大惨事」

ワシントンの保守系シンクタンク「ハドソン研究所」で22日に開かれた会合で、ヘイリー氏は自身の選挙キャンペーンで掲げた与野党への批判を繰り返した。

しかし、現職のバイデン氏に対しては最も強い言葉を使った。

バイデン氏はアフガニスタンでの「大失敗」を監督し、ウクライナへの「侵攻を阻止するために何もしなかった」、そして最近では「イスラエルを見放した」と、ヘイリー氏は述べた。

「有権者として、私は同盟国を支援し、敵に責任を負わせ、国境を守り、資本主義と自由を支持し、私たちは借金を増やすのではなく借金を減らす必要があることを理解している大統領を優先する」

「トランプ氏はこれらの政策において完璧ではない。しかしバイデン氏は大惨事だ。だから私はトランプ氏に投票する」

しかしヘイリー氏は、自身の支持者に対して、同じようにトランプ氏に投票するよう呼びかけはしなかった。

「私は指名争い撤退時の演説で述べたことを支持する」と、ヘイリー氏は群衆に語った。

「トランプ氏にとって賢明なのは、私に投票し、私を支持し続けてくれている何百万人もの人々に手を差し伸べることであり、彼らが自分についてきてくれると決めつけないほうがいい。彼(トランプ氏)がそうしてくれることを、私は心から願っている」

ヘイリー氏は、トランプ氏からはいかなる形の接触もないと述べた。

副大統領候補になる可能性は

ヘイリー氏がトランプ氏との関係を正式に修復してトランプ氏を支持するのかどうか、憶測が広がりそうだ。

11月の本選で、トランプ氏とヘイリー氏という大統領・副大統領候補が実現するかどうかも注目されるだろう。

共和党の選挙ストラテジスト、ジョン・コナーズ氏はBBCに対し、ヘイリー氏はトランプ氏に「明らかにシグナルを送っている」と語った。

「ヘイリー氏はトランプ氏と取引し、副大統領の座を狙おうとしていることの表れかもしれない」

「これは一見の価値がある。今は傍観している大口献金者から資金を集める道が開けるし、大卒の女性有権者や、トランプを支持したことがない有権者をも引き戻せるかもしれないので」

コナーズ氏は、「トランプ氏とヘイリー氏が協力すれば、倒すのが難しい組み合わせになり得る」と付け加えた。

追加取材:ブランドン・ドレノン

(英語記事 Nikki Haley says she is voting Trump for president

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