【日本ダービー/追い切り診断】ジャスティンミラノに迫る高評価「A」 “こだわり”の調整でパフォーマンス向上

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第91回日本ダービー(東京優駿/GI、東京芝2400m)には、無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノ、17年ぶりの牝馬制覇を狙うレガレイラ、皐月賞4着のアーバンシック、モレイラ騎乗のダノンエアズロックらが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「アーバンシック」を取り上げる。

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■アーバンシック

【中間調整】芝1800mの札幌新馬戦、東京芝2000mの百日草特別を連勝。マイル路線は完全に捨てて、クラシックを強く意識した路線を歩んできた。重賞初挑戦だったデビュー3戦目の京成杯は勝負どころで内にモタれながらも、鞍上・横山武騎手が馬群をうまく捌き2着に食い込んでいる。賞金的には間に合う算段が立ち、そこから3カ月の休養を挟んで皐月賞へ直行。その皐月賞ではスタートで寄られ、後方からの競馬に。抑えた分、行きたがってしまいかなり厳しいレース運びを強いられたが、直線ではジワジワと押し上げて0秒4差の4着に食い込んでいる。

大きなダメージはなく、皐月賞4着で進出権利を得た日本ダービーへ進むことに。短期放牧を挟んで5月10日に美浦へ戻っており、12日の初時計でいきなりウッド5F66秒9-1F11秒4(馬なり)とハイレベルな動きを披露した。1週前追いは横山武騎手が騎乗しウッドで2頭を外からマクるハードワーク。いずれも1秒以上先に行かせていたが、脚力の違いを示し、最先着を果たした。

【最終追い切り】レース当週もウッドで横山武騎手を背にした併せ馬。稽古駆けするオープン馬を追走し、この日も外をマクる形で直線に入ると、まだ相手との差はあったが、手前を機敏に替えると一気に加速してパス。抜群の手応えのまま半馬身の先着を果たした。

【見解】ホープフルSを勝ったレガレイラと同血のいとこという血統背景。そしてぶっつけかつ苦しい展開だった皐月賞で4着に食い込んだ走りから、持てるポテンシャルは世代内でトップクラスと考えていいだろう。その能力を実戦でしっかり発揮すべく、前走時から陣営は外をマクる併せ馬を課してきた。この中間も1週前、最終追いと連続して外マクり併せ馬を行う徹底ぶり。武井師、そして横山武騎手がこの馬のパフォーマンス向上にはこれしかない!と熟慮したうえでの調整法だろう。ここでその“こだわり”が実を結ぶ……というシーンは考えておきたい。

総合評価「A」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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