【日本ダービー/追い切り診断】“必勝パターン”文句なしの仕上がり 「迫力増す渾身の態勢」で最高評価「S」

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第91回日本ダービー(東京優駿/GI、東京芝2400m)には、無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノ、17年ぶりの牝馬制覇を狙うレガレイラ、皐月賞4着のアーバンシック、モレイラ騎乗のダノンエアズロックらが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ジャスティンミラノ」を取り上げる。

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■ジャスティンミラノ

【中間調整】父はキズナ、母は英ヨーク競馬場芝5FのGI・ナンソープSの勝ち馬という良血馬だ。昨年11月、東京芝2000m戦でデビューし、2番手から抜け出すまさに正攻法から快勝を収めた。その後はクラシックを意識して成長を促され、2戦目は共同通信杯。1戦1勝という立場での参戦で4番人気に留まっていたものの、このレースも前々で折り合って運び、好位から抜け出し重賞初制覇とした。そこから中8週の皐月賞は超スローだった共同通信杯と異なり、前半5F57秒5という過酷な消耗戦に。しかし、このレースも5番手から抜け出すと、2着馬の猛襲も凌ぎ無敗で皐月賞馬の座に就いた。

その後は予定通り、日本ダービーへ。在厩で丹念にケアされ、4月28日の坂路4F57秒9(馬なり)が初時計。徐々に調教強度を上げ、2週前には目黒記念を目指す年長のサトノグランツをCWで迎え撃ち手応え優勢で併入、5F66秒2と時計も自己ベストに迫るものを出した。1週前追いは2頭を大きく先に行かせての追走。ラストはしっかり負荷を掛けられ1頭に先着、1頭(葵Sを予定していたロードフォアエース→抽選で除外)にはわずかに遅れたが、序盤に1秒以上の差があったことを考えればまったく問題ないだろう。

【最終追い切り】レース当週は過去2回の関東遠征時と同様、坂路でゆったり走らせる微調整程度の内容消化となった。緩いペースでもまったく力まず、ブレの少ないシャープなフォームで登坂。最後の最後に促されると、スルッとギアを上げ駆け抜けている。踏み込みも力強く、いかにも心身充実を感じさせる攻めだった

【見解】秋東京の2000m戦で下ろし、年末のGIには目もくれず成長を促して年明けは共同通信杯から、と日本ダービーをバリバリに意識したここまでのローテーション。前走・皐月賞はともすれば単なるステップと考えていたフシがあり、攻めは手緩く、じっさい体重はプラス10キロでの出走だった。それが蓋を開けてみれば初経験の小回り中山、前走とガラッと異なる激流に対応し、正攻法でのレコードV。世代内での能力突出度合いは相当なものだ。

ここに向けては敢えて在厩調整を選択したが、やや重苦しさを感じさせた前走時の中間と比較し、何段階か迫力を増している印象があり選択は吉と出たと考えていいだろう。計算されたローテ、1週前CW→最終坂路というマカヒキやワグネリアンと共通の“王道パターン”、そして在厩調整というスパイス。名門・友道厩舎が渾身の態勢で狙う4度目の日本ダービー制覇。現実のものとなる可能性はきわめて高い。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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