今季J1リーグの異変を象徴する2大事象。ひとつは町田の大躍進。もうひとつは…

2024年のJ1リーグは15節を消化し(ACLなどの関係で日程の一部は未消化)、全日程の半分近くを終えようとしている段階だ。20クラブで覇権を争う今季も当然ながら驚きというか、異変を感じさせる事象がある。

最大のそれは、FC町田ゼルビアの大躍進だ。現時点で堂々の首位、しかも総得点はリーグ2位タイの「25」、失点は最少タイの「11」と内容も伴っている。ここまでの快進撃を見せるとシーズン開幕前に予想できた解説者、識者がはたしていただろうか。

黒田剛監督の下で「失点しない」「連敗しない」というスタンスを刷り込まれ、それを忠実に実行しようとする選手たちの頑張りは称賛に値。サッカーにおいて組織が如何に重要か。今季の町田はそれを教えてくれる。

もうひとつ、今季のJリーグで異変の象徴となっているクラブが川崎フロンターレだ。数年前まで黄金時代を築いていた彼らが、今季は大乱調。すでにリーグ戦で7敗を喫しており、降格圏にいる18位の湘南ベルマーレと勝点2差の14位に沈んでいる。どこかのタイミングで18位以下に転落するような事態になれば、それこそ事件だ。

あれだけ魅力的なサッカーをしていた川崎が、ここまで4勝4分7敗と負け越していて、得失点差は「-1」と信じ難い成績を残している。直近2試合のサガン鳥栖戦とガンバ大阪戦での計8失点は、ひとつの時代が終わろうとしている予兆なのか。

三笘薫、田中碧ら主力がごっそりと抜けてチーム力が現実的に落ちた点は、勝手ながら同情する。これだけ選手を引き抜かれたら立て直すのは簡単な作業ではないのだから。

いずれにしても、過渡期に差し掛かった川崎はここからどうなっていくのだろうか。興味深く見守りたい。

かつてJ2リーグで下位に低迷していた町田が初挑戦のJ1で躍進を遂げる一方で、数年前までは常勝軍団だった川崎が当時の勢いを失う。栄枯盛衰。今季のJリーグを見ていると、そんな印象を抱かざるを得ない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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