薬と体重の関係を知ろう!子どもの薬、服用時のNG行動を薬剤師が解説

子どもの薬の処方は一律に決まっているものではありません。同じ年齢であっても、子どもの成長にあわせて個別に調整が必要です。そのため、病院を受診するときには、医者や薬剤師に子どもの情報を適切に伝えることが大切です。今回は、薬と体重の関係や、子どもの薬の服用に関するNG行動について、薬剤師が解説します。

薬と体重の関係

子どもの場合、同じ年齢でも成長スピードが異なるため、一人ひとりに応じた処方が必要です。子どもの服用量の決定方法はいくつかあり、年齢の他に子どもの体重や体表面積を元に算出されます。体表面積は、体重や身長を元に算出される項目です。(※1)

子どもの体重や体表面積を元に薬の量を計算した場合、成人の服用量を超えてしまうケースもあります。その場合は原則として、成人量を超える量は服用しません。(※2)

子どもの薬を処方してもらうときの体重の伝え方

病院にかかって薬を処方してもらうときは、年齢や月齢、体重を正確に伝える必要があります。いざ子どもの体重を聞かれたときに咄嗟に答えられないという状況にならないよう、日頃から自宅で体重を測っておくのがおすすめです。

また、幼稚園や保育園などであれば1か月に1回、小学校では3か月に1回程度身体測定を行い、体重を計測していることが多いため、その数値を覚えておくのもよいでしょう。食事や排泄で変動する程度の体重の違いによって薬の処方量に大きな影響はありませんが、10kgではなく9.8kgなど、できる限り正確に伝える方が安全です。

間違えた体重を医師・薬剤師に伝えた場合の対処法

医師や薬剤師から子どもの体重を聞かれた際、間違った数字を伝えてしまった場合には、薬を処方してもらった医師や薬剤師に連絡し、処方された量で問題ないか確認しましょう。もし、薬を飲んだ後に気づいて、嘔吐や意識朦朧などの異常があらわれた際には、救急や「♯8000」「♯7119」へ相談してください。

「♯8000」は子ども医療電話相談事業の番号です。休日や夜間など、子どもの症状にどのように対処したらいいかわからないときに、小児科医師や看護師に相談できます。全国どこでも同じ番号で、住んでいる地域の相談窓口に自動転送されます。なお、地域によって実施時間が異なるため、あらかじめ自分の地域の実施時間帯を確認しておくと安心です。(※3)

子どもの服用に関するNG行動

ここからは、子どもの服用に関するNG行動を2つご紹介します。

大人の薬を服用させる

個人の判断で、大人の薬を子どもに服用させるのは控えましょう。体重が大人の半分だから、薬の量を半分に減らせばいいというわけではないからです。

からだが成長段階の子どもは、大人よりも薬を分解したり排泄したりする肝臓や腎臓の機能が発達途上のため、大人にとっては安全な薬でも、子どもには重大な副作用を引き起こしてしまう場合があります。

子どもの薬の服用量は、体重だけでなく薬の成分や体内での吸収の仕方なども検討する必要があるため、子ども用の薬が手元にない場合でも、大人用の薬を服用させないよう注意してください。(※4)

年齢が異なる子どもの薬を服用させる

同じ症状であっても、きょうだいなど、他の子どもに処方された薬を、別の子どもに服用させてはいけません。処方された子どもの体重や発達状況など、その子に合わせて処方されているため、同じ症状であっても、病院を受診し、その子に応じた薬を処方してもらいましょう。(※5)

また、きょうだいで一緒に受診した場合、処方された薬を混同させないよう注意が必要です。

子どもの体重を正確に伝えて適切な処方をしてもらおう

今回は、子どもの薬と体重の関係や、子どもの薬の服用時の注意すべき行動をご紹介しました。

子どもの薬の処方は、年齢や体重などを踏まえて一人ひとり異なります。病院を受診するときには、事前に体重を測っておくことで、スムーズに薬を処方してもらえます。そのため、同じ症状であっても、別の子どもに処方された薬を他の子どもに服用させてはいけません。

また、大人の体重の半分だからと、大人用の薬の量を減らして飲ませることもNGです。からだが発達途上の子どもでは、大人用の薬を服用すると重大な副作用を起こしてしまう可能性もあります。休日や夜間ですぐに病院を受診できないときは、救急や「#8000」「#7119」に問い合わせてみてください。

<参考文献>
※1 エビデンスに基づく二次文献データベース「小児薬用量の考え方と小児薬物療法における注意点(小児科)」
※2 アイアールファーマシー「子どもの薬について」※3 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」
※4 静岡県病院薬剤師会「くすりのQ &A」※5 特定機能病院 福井大学医学部附属病院「お子様とお薬」

PROFILE

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010077

●Medical Health CH:https://www.youtube.com/playlist?list=PLha9jt4tT7-xa-y83vBY8Ir-1-FqAYyWj

© 株式会社ベネッセコーポレーション