クマ銃猟条件緩和の方針案 環境省、住宅地や建物内を想定

 【東京支社】2023年度に過去最多の人的被害をもたらしたクマの対策を巡り、環境省は23日、専門家検討会で鳥獣保護管理法の見直しに向けた対応方針案を示した。住宅地への出没時や建物内にクマが入り込んだ場合、一定の条件下で銃猟が可能となるよう規制を緩和する内容。クマ被害の増加を受け、達増知事ら北海道や東北の知事から規制緩和を求める声が上がっていた。今後は法改正を目指す見通しで、現場が安全に対処できる環境整備につなげる。

 近年は全国的に市街地へのクマの出没が相次いでいるが、現行法では住宅が集合する地域での銃猟を原則禁じている。市街地でハンターらが銃猟できるのは、警察官が警察官職務執行法に基づいて命じた場合などに限定。生命に危険が生じていない場合は対応が難しく、倉庫内にクマが立てこもったケースなどは発砲できなかった。

 方針案では「応急的対応ではなく鳥獣保護管理法の改正による対応が望ましい」と指摘。一定の条件を設け▽人身被害の恐れが生じている状況で、特例的に市街地などで対応する場合▽建物内に入り込んだ場合▽箱わなで捕獲したクマの殺処分-で、銃使用ができるよう見直すとした。

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