取り調べや実況見分せずに虚偽の捜査資料を作成 元鹿児島県警巡査部長の被告男「間違いありません」 起訴内容認める 鹿児島地裁初公判

 虚偽の捜査資料を作成したなどとして、虚偽有印公文書作成・同行使と公文書毀棄(きき)の罪に問われた、元鹿児島県警巡査部長の男(53)=姶良市加治木町反土=は24日、鹿児島地裁(小泉満理子裁判長)の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役2年6月を求刑し、即日結審した。判決は7月8日。

 冒頭陳述で検察側は、姶良署交通課に所属していた当時、処理未済の事故がたまり「当事者を取り調べずに偽の書類を作成した方が楽だと考え犯行に及んだ」と指摘。「国民の信頼を失う犯行で、警察官としての自覚がない」と論告した。

 弁護側は「社会の信用を傷つけたことを後悔し、反省している」として執行猶予付きの判決を求めた。

 起訴状によると被告は2019年9月~22年2月、19年8月から21年12月に発生した10件の自動車運転処罰法違反(過失傷害)事件の捜査で、取り調べや実況見分をせずに、姶良署で虚偽の供述調書など22通を作成、行使したとしている。また21年8月に発生した同法違反(過失傷害)事件に関する書類を同11月ごろに持ち出し、22年9月まで自宅に隠したとされる。

 県警は23年5月18日に書類送検し、停職6カ月の懲戒処分とした。被告は同日付で依願退職した。

© 株式会社南日本新聞社