首都高「大黒PA」、外国人が詰めかけ観光地化? ツアーまで催行、お目当ては「JDM」文化

横浜市鶴見区内の首都高速「大黒(だいこく)パーキングエリア」について、外国人観光客が集まって観光地化していると、2023年夏ごろからメディアが次々に取り上げている。

富士山が映えるスポットは外国人が集まって話題になったが、なぜ本来は観光地でない高速のPAに来るのだろうか。関係者に取材して話を聞いた。

テレ朝「モーニングショー」が、迷惑行為も相次いでいると紹介

スーパーカーが集まってミーティングをしたり、音楽を大音量でかけて存在を誇示したり...。「車好きの聖地」とも呼ばれる大黒PAでは、SNS上やメディアで以前から、こんな映像などが度々流されて耳目を集めた。

日本人の走り屋が集まっているというわけだが、最近は、外国人観光客の姿が目立って増え、迷惑行為も見られると報じられるようになった。

テレビ朝日系の情報番組「モーニングショー」は24年5月24日の放送で、このことを特集し、週末の夜は、6、7割が外国人になるというPA利用者の声を伝えた。その理由として、日本の旧車がアメリカなどで人気となっており、米カーアクション映画「ワイルド・スピード」に大黒PAが登場するなどして、若者を中心にSNS上で話題になっていることを挙げた。

そして、外国人が集まるようになって、大黒PA横の一般道からフェンスをよじ登る不法侵入が相次ぎ、フェンス前に英語で立ち入り禁止の看板をいくつか立てるまでになったと伝えた。23年ごろからタクシーで来る外国人も多くなったと指摘し、帰りの交通手段に困って警察に助けを求める様子も映した。

週末の夜20時30分になると、PAが閉鎖されることがあるとし、パトカーがサイレンを鳴らして知らせるシーンも流した。トイレなどはその後も利用できるが、車の撮影などで危険な行為があったときは、安全のために閉鎖しているという。

外国人観光客が大黒PAで週末夜などに集まるというのは、一体どんな状況になっているのだろうか。

日本の旧車の世界は「JDM=Japan Domestic Market」として有名に

大黒PAの関係者は5月24日、J-CASTニュースの取材に対し、「外国人の方は、コロナ明けからけっこういらっしゃるようになりましたね」と明かした。

「それでも、まだ日本人が7、8割と、外国人よりも多いです。土曜日は、特に集まってくるので、警察が前もって動き、午後8時半ぐらいから毎週のように閉鎖されています」

外国人は、日本のスポーツカーなどを見に来ることが多いとした。

「映画に出ている男性タレントの方がここを訪れたことがあって、その情報がX上で出回っていました。それを見て来られた方も、けっこういらっしゃいましたね」

実際、22年8月には、映画「ワイルド・スピード」に出演したアメリカ人俳優が大黒PAを訪れ、ファンとのツーショットに応じていたと、X上でその写真などがいくつか投稿されていた。

ネット上で調べると、映画にも登場した日本の旧車の世界は、「JDM(Japan Domestic Market)」と呼ばれ、JDMの文化を紹介する外国人向けのツアーがいくつも出ている。そのコースに、大黒PAが選ばれていた。インスタグラムで、「#jdm」のハッシュタグで検索すると、3600万件以上ヒットし、「#daikoku」でも8万件以上あった。

大黒PAに「観光」で来た外国人について、大黒PAを管理する首都高速道路は24日、「PA内に目的外利用で集まっている人数及び外国の方の割合についてはわかりかねます」と取材に答えた。そのうえで、「PA内での本来の利用目的にそぐわない迷惑行為に対しては、休憩に立ち寄られる他のお客さまのご迷惑となることから、警察と情報共有を図り、注意喚起を行うなどの対応を講じてまいります」と説明した。

神奈川県警の高速隊は同日、「外国人観光客が集まるようになったのは、コロナ禍の後からです」と取材に答え、集まる目的などは不明だとしたが、「高級車の見学や撮影をしている外国人が多いです」と明かした。PAが目的外利用されていることについては、「今後も首都高速道路等とも連携し、大黒PAの適正利用に関する広報啓発の活動を推進していきます」と述べた。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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