キョクトウが改善計画 正露丸不適切製造受け、県に提出

 胃腸薬「正露丸」の不適切製造で富山県から業務停止命令を受けた製薬会社「キョクトウ」(富山市)は24日、県に再発防止策を盛り込んだ改善計画を提出した。違反の背景に人手不足があったため、10月を目標に製造、品質部門の従業員を1.5倍に増やす。内部通報体制も整備する。

 品質部門には法的に求められる責任者の下に、担当を細分化した責任者を配置。社内規定の文書を実効性のある内容に改訂する。県は「改善内容を精査し、必要に応じて指導していく」とした。

 県によると、キョクトウは正露丸の有効成分「ロートエキス」が承認規格を満たしていないのに、適合したとする虚偽の試験記録を作成して出荷していた。虚偽の試験記録の作成は検査責任者の指示で行われ、2021年12月以降、複数回出荷された。

 違反は正露丸のほか、「本方正露丸」「複方熊胆円(ゆうたんえん)」「複方熊胆丸(ゆうたんがん)」の4品目で見つかった。原料を仕入れた際に品質試験をせず、原料メーカーの試験を転記していた。

 県は先月26日、医薬品医療機器法に基づき製造業務は今月22日まで23日間の停止、製造販売業務は今月21日まで22日間の停止を命じ、さらに改善計画の策定など業務改善も命じた。

 キョクトウは1950年に設立され、全国の薬局、やドラッグストアに正露丸を供給し、配置薬の製造販売も手掛ける。年商は約5億5千万円で従業員はパートを含め27人。

 富山県内では2020年度以降、大手ジェネリック医薬品(後発薬)メーカー日医工(富山市)をはじめ、医薬品メーカーの不適切製造が相次いで発覚しており、行政処分はキョクトウで7件目となった。

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