島原地域防災連絡会議 梅雨前の備え呼びかけ 普賢岳「噴火の兆候なし」

島原半島の災害について情報共有する防災担当者=島原市平成町、雲仙岳災害記念館

 梅雨時期を前に、島原半島の防災対策について関係機関が情報を共有する本年度の「島原地域防災連絡会議」が24日、長崎県島原市内であった。地震災害や土砂災害などについて専門家が解説し、災害への備えを呼びかけた。
 県島原振興局が毎年開き、島原半島3市のほか、警察、消防、国など34機関から計約40人が出席した。
 九州大地震火山観測研究センターの松島健教授は、2008年ごろから雲仙・普賢岳地下で発生している微小地震について「前回噴火時(1990~96年)と違って震源は移動しておらず、地下水とマグマが触れて発生する前回噴火の“名残”とみられる」と説明。「散発的に小さい地震は発生しているが、噴火の兆候はない」と述べた。
 国土交通省雲仙砂防管理センターの久保世紀センター長は、前回噴火時に普賢岳山頂にできた溶岩ドーム(全約1億立方メートル)の崩壊による影響について、パターン別に分析していることを紹介。最も市街地側にある第11ローブ(約1800万立方メートル)の全量崩壊までは既存の砂防施設で食い止められる一方、地山も含めて大きく崩壊した場合は下流の国道57号まで5分、有明海まで7分ほどで到達する可能性があると指摘した。久保センター長は取材に「地震などがあった時に警戒する必要がある」と答えた。
 長崎地方気象台の林田克也防災気象官は「先日も南島原市で地滑りが発生しており、梅雨の大雨に気を付ける必要がある。身を守るため、自治体が発行しているハザードマップで危険な場所を確認し、近づかないよう注意してほしい」と強調した。

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