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サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」世界一メンバーの1人で宇都宮市出身のDF鮫島彩(さめしまあや)が25日、現役を引退した。試合後の記者会見では「自分の中で本当にやり切った」と充実感をにじませた。引退を決断したのは今週で、所属するWEリーグ・大宮で「このメンバーに囲まれて引退したかった」という。同市の河内SCジュベニールに所属した幼少期に「チームのために戦う大切さを学んだ」と語る36歳。最後まで不変の姿勢を貫き、すがすがしい笑顔で現役生活に終止符を打った。
試合から終了後の記者会見まで、一切涙を見せなかった。この日はチームとしても今季最終戦。INAC神戸を相手に0-2で敗れたものの「リーグ戦の一つの大事な試合。いつも通り勝つために戦うことは変わらなかった」と全力でピッチを駆け回った。「鮫島、いけ」。ボールに触れる度に、スタンドからの声援が後押しした。
スタンドには本県からも小中学校の同級生や恩師、家族ら関係者約50人が駆け付け最後の勇姿を見守った。父俊裕(としひろ)さん(68)は「ディフェンダーとしていつも通りに戦っている姿を最後まで見られてうれしかった。次のステージも応援し続けますよ」。試合後はピッチ上で娘をねぎらい、記念写真に収まった。
鮫島が試合後のセレモニー、記者会見を通じて繰り返したのはチームメートやファン、スタッフへの感謝の言葉。「周りに常にファンの方がいてそれが原動力になった。一緒にプレーする仲間にも恵まれました」
ラストゲームの相手・INAC神戸は2015年からプレーした前所属チーム。試合後、その応援スタンドでも巻き起こった「鮫島」コールが、多くのファンを魅了し、愛された何よりの証しだった。
「負けの成長の機会」 記者会見での一問一答
-第一線で活躍できた理由は。
「小さい頃から負けず嫌いなところがあった。どんな時でもピッチは勝負の世界。目の前の相手に負けたくないという思いが大きかった」
-印象深い試合は。
「たくさんあり過ぎて選べない。ワールドカップ優勝以外も、代表での試合は私にとって濃い試合ばかりだった」
-サッカー人生で大事だと気付いたことは。
「起きた出来事や結果を単純に良い、悪いで捉えないこと。負ければ『勝ちたかった』と思うが、それも一つの経験として成長できる機会と考えてきた。それはこの先も大切にしたい」
-今後のビジョンは。
「筑波大大学院でWEリーグの観戦者について研究している。プロモーションやマネジメント、集客に興味があるのでそういうことにも触れていければいい」
-未来のなでしこにメッセージを。
「小さい頃からドリブルが好きでたくさん練習した。そうした特長が評価されて代表に呼んでもらえた。苦手なプレーの克服も大事だが、得意とするプレーをどんどん伸ばしてほしい。それが楽しさにつながる」