総合花展、能登思い装い新たに 26日から後期展

思いを新たに生け込みに臨む出品者=金沢市の香林坊大和8階ホール

  ●香林坊大和8階 

 石川県いけ花文化協会の創立30年を記念した第27回総合花展金沢展(同協会、北國新聞社主催)は25日、金沢市の香林坊大和8階ホールで前期展が最終日を迎えた。閉場後は26日から始まる後期展の生け込みが行われ、初夏の爽やかさを感じさせる花材を持ち寄った役員や会員が、協会の発展や能登半島地震の復興を願い、思いを新たに生け込んだ。

 志賀町から出品した古流松照会の日野理敦さんは、亡き父が愛したネビキマツと、カキツバタを中心に初夏をイメージした大作を仕上げ、「早く日常が戻り、ずっと続いてほしい」との思いを込めた。

 能登町からは嵯峨御流の華道家2人が出品。夏畑秀甫さんは水盤に、雨垂れを思わせるシマフトイ、ミズバショウとカラーを添え水辺の景を描き、「地震を経ても、みずみずしく立ち上がる姿に癒やされてほしい」と話した。大森久恵甫さんは力強く石を抱えた木の根に、アブラドウダン、ナズナを組み合わせた。「避難生活の中、花を生けることで元気をもらった」と話し、飛び立つ鳥のような形の木に復興の願いを重ねた。

 羽咋市の蓮本望乃(のの)さん(七尾高2年)は、前期に出品した草月流の蓮本年山さんの孫で、バンダランやスプレーバラなどを織り交ぜた。奥能登で被災した同級生もおり、「生けられることに感謝し、作品を見た人が少しでも安らいでほしい」と語った。

 全期間を通して展示される特別大作6点も手直しされ、作品が生き生きとよみがえった。

  ●学生華道家も来場

 前期展の会場には学生華道家として出品した作田珠花(すずか)さん(小松市立高2年)、梨桜(りおん)さん(能美市寺井中3年)、月星(るな)さん(同市湯野小4年)の3姉妹が鑑賞に訪れた。ヒマワリを涼しげなガラスの器に生けた珠花さんは「初めての学生席に、皆で出品できてうれしい」と笑顔を見せた。

 28日まで。入場料は600円(高校生以下無料)。

自作の鑑賞に訪れた作田さん3姉妹
祖母と一緒に感謝の気持ちを込めて花を生ける蓮本さん

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