スターリンクが〝離島の離島〟を救う? 高速ネット通信を実証へ、20数億円の事業費が1000万円足らず 瀬戸内町の請島、与路島

スターリンクのアンテナの設置方法などを説明する業者=25日、瀬戸内町池地

 鹿児島県瀬戸内町は25日、光ファイバー回線が整備されていない請島、与路島両島で、米スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」の実証を始めた。池地、請阿室(うけあむろ)、与路の3集落に1基ずつ配備。住民が公民館などで高速インターネットを使えるようになる。

 町のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進事業の一環。総事業費は1075万円で、うち利用料など640万円分は国の補助を活用した。「離島の離島」とされる両島の住民からネット環境の改善を求める声が上がっていた。

 同日、住民説明会があり、業者らはオンライン診療などが可能になると利便性を説明。町の担当者は「住民だけでなく帰省客や観光客にも活用してもらい、関係人口・移住につなげられたら」と期待した。本年度の利用状況を見て、来年度の導入を検討する。

 与路小中学校の里親、藤田誉亮さん(45)は「今まではビデオ通話が途切れるなどしていたが、便利になる」と歓迎。一方で池地集落の益岡一富区長は「自宅で使える方法はなかったのか。もっと住民の声を聞いてほしかった」と話した。

 町は2021年度、加計呂麻島に海底光ファイバーを導入。請島、与路島両島でも整備を検討したが、地形の関係で20数億円かかることが分かり、他の方法を模索していた。6月中に両島の小中学校にもスターリンクを配備する見込み。

〈関連〉スターリンク実証が始まった〝離島の離島〟請島、与路島の位置を地図で確認する

© 株式会社南日本新聞社