【タイ】タイ首相「日本重視」、SAFやEVで協議[経済]

三井物産と面談するセーター首相(右から2人目)=23日、東京(タイ政府提供)

タイのセーター首相は23日、訪問先の東京で日系大手6社の幹部と面談し、「日本企業を最も大事にしている」と強調した。首相は三井物産、味の素、ソニー、ニデック(旧日本電産)、ソフトバンク、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の6社と面談。三井物産には持続可能な航空燃料(SAF)生産、ニデックには電気自動車(EV)部品の生産拡充などへの投資を呼びかけた。

セーター氏は6社との面談後に記者会見を開いた。三井物産との面談で、サトウキビの廃棄物を原料とするSAF生産拠点の設置を要望したと説明。昨年12月の日本訪問でも同社と協議しており、今回の面談で「進展があった」と手応えを示し、会見でも「三井物産にとって、今こそ投資の最良の時期だ」などとアピールした。

ニデックについては「タイをEVやドローン向けのモーターなどの生産・輸出拠点として活用している」とした上で、EV部品、AIや半導体の需要と成長を支援する新たな製品群へのさらなる投資拡大を要請したと明らかにした。味の素は、栄養補助食品などで「タイへの投資拡大の予定がある」などとして、タイの食品業界、農業への好影響に期待感を示した。

MUFGによると、セーター氏は同社との面談で「タイ政府は日系企業、特に自動車メーカーと60年以上の付き合いがある。EVに勢いがあるも、今後も日系企業を支援する」と述べた。首相就任後の8カ月で既に日本を2度訪問しており、「日本企業を最も大事にしている姿勢を理解していただきたい」などと発言。タイは外交で中立的な立場にあり、海外投資家が安定して投資を行えるのが強みであるほか、自由貿易協定(FTA)拡充に注力することで日系を含む投資家に「タイから輸出するメリットを出せるよう取り組んでいく」と強調した。

三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取は面談で、日本の自動車メーカーもタイ市場の重要性は認識しており、車種の多様化が進むなかでもタイの重要性は不変であり「タイ政府による各種支援は銀行としてもありがたい」などと発言。MUFGはタイ連結子会社であるアユタヤ銀行とともに、日タイ双方からタイ経済発展への貢献に注力しており、今後も幅広いネットワークを生かして貢献を続けると応えた。

セーター首相(左)と三菱UFJ銀の半沢頭取=東京(タイ政府提供)

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