【カンボジア】首都で和風住宅開発へ、URリンケージ[建設]

18日にプノンペンで開催された覚書の締結式典(URリンケージ提供)

都市開発のコンサルティング事業を手がけるURリンケージ(東京都江東区)と建設事業などを展開するコジマホールディングス(神奈川県厚木市)は、カンボジアの首都プノンペンで日本の建築技術を投入した和風住宅の開発、販売に乗り出す。日本の不動産事業者のカンボジアへの進出を後押しする国土交通省のプロジェクトに基づくもので、2024年度中の販売開始を目指す。

URリンケージとコジマホールディングスは、カンボジアの不動産開発会社INGホールディングスと提携し、同国で住宅を建設、販売する。首都プノンペン南部にある日系商業施設イオンモール・ミエンチェイ(イオンモール3号店)近くに確保した1,600平方メートルの用地に4棟の和風戸建て住宅を設置。現地の富裕層をターゲットに売り出すというものだ。

URリンケージが販売支援、コジマホールディングスが住宅の企画、設計、建設、INGが計画推進に必要な行政機関との協議、販売活動をそれぞれ手がける。3者は18日、事業の始動に向け、現地で戦略的協力に関する覚書(MOU)を締結した。覚書の締結を受けて3者は今後、販売計画や工事工程の設定といった事業化に向けた詳細について検討を進め、24年度中の販売開始を目指す。

3者が現地で販売するのは、「和風モダン」をコンセプトとした住宅。高断熱ガラスや太陽光発電システム、節水トイレといった日本の技術や設備を盛り込むという。家庭用エネルギー管理システム(HEMS)も導入する。

カンボジアで和風住宅を開発、販売する背景には、同国への日本の不動産事業者の進出を支援する国交省のプロジェクトがある。同プロジェクトに関連してURリンケージが、現地での事業に関心を持つ日本企業を誘致してきたという。

国交省は18年、カンボジアの国土整備・都市化・建設省との間で不動産開発などに関して定期的に話し合う「カンボジア都市開発・不動産開発プラットフォーム」を発足。両国の民間企業関係者らの参加も募り、これまでに4回にわたり会合を開催した。

URリンケージは、賃貸住宅事業などを展開する都市再生機構(UR都市機構)の関連会社。都市開発のコンサルティング業務などを手がけており、海外でも積極的に事業を展開している。カンボジアでは、同国での中低所得者の住宅事情調査や都市計画・関連法制度の調査などの案件を請け負ってきた。

コジマホールディングスは、神奈川県や東京都で建設事業を展開する小島組などを傘下に持つ。小島組はカンボジアに全額出資子会社を保有している。

INGホールディングスは05年の設立。プノンペン中心部の南に位置するフン・セン通り沿いでの衛星都市プロジェクト「INGシティ」の開発などを手がけている。イオンモール・ミエンチェイはINGシティにある。

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