「被ばく牛守る」農家と大学生が意見交換 盛岡で公開シンポ 

被ばくした牛の飼育を続ける思いを語った渡部典一さん(右から2人目)と池田光秀さん(同3人目)

 原発事故被災動物と環境研究会(代表理事・伊藤伸彦北里大名誉教授)などは25日、盛岡市上田の岩手大で公開シンポジウム「被ばく牛を守り抜いた農家と見つめ続けた研究者たちの軌跡」を開いた。福島県で殺処分対象となった牛の飼育を続ける農家2人と岩手大生らが意見交換し、原発事故に翻弄(ほんろう)された暮らしと命について考えた。

 学生や市民ら約70人が参加した。研究会が東京電力福島第1原発事故後に福島県で行っている調査を紹介。同大と北里大の教授が中心となって、原発から半径20キロ圏内の牛を対象に長期的な低線量被ばくの影響を調べていると説明した。

 20キロ圏内に残された家畜は国によって殺処分の対象とされたが、同意せずに牛の飼育を続ける農家を追った映画「被ばく牛と生きる」を上映。参加者は静かに見入り、現地の状況を学んだ。

 座談会には被ばくした牛の飼育を続ける福島県浪江町の渡部(わたなべ)典一(ふみかず)さん(65)、富岡町の池田光秀さん(62)が参加。岩手大で畜産を学ぶサークル「ライブストック研究会」に所属する共同獣医学科の3年生ら7人が意見を交わした。

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