一番人気はチャーハン 開業直後から昼も夜も来客…出前も多い大宮「天童」 昭和から変わらない中華食堂

一番人気のチャーハンとレバニラ炒めとギョーザ

天童(大宮区)

 さいたま市大宮区吉敷町。大宮やさいたま新都心の発展とともに様変わりした街にあって、昭和の時代からずっと変わらない中華食堂。それが「天童」だ。

 1982年創業。店主の赤塚薫さん(81)が和食店、韓国料理店を経て独立した。39歳だった。「田舎から出てくるとき、絶対独立するぞという気持ちだった」と振り返る。

 故郷の山形県天童市から店名を付けた。店には実家から開店祝いに贈られた大きな将棋の駒がカウンターの左右に置かれている。王将と左馬(逆さ馬)。「馬」の字が左右反転している左馬は、天童市独自のもので福を招く商売繁盛の守り駒だという。

 ところで、なぜ中華だったのか。「近くにそば屋もすし屋もあった。でもラーメン屋はなかったんだよ。出前のできる商売がいいんじゃないかなって思った」。栃木県で中華料理店を営んでいた友人のところに約1カ月間行き、仕込みの仕方などを覚えた。「何しろ鍋を振ったこともなかったからね」

 開業直後から近くの会社員や予備校生が、昼も夜も来店した。予想通り、出前の注文も多かった。消防署や県の合同庁舎、企業に加え一般家庭からも。テイクアウトではなく出前の時代だった。

 当時から一番人気のメニューはチャーシュー、ナルト、タマネギ、ニンジン、卵をシンプルに塩コショウで味付けたチャーハン。ギョーザやレバニラ炒めもファンが多い。

 妻の久子さん(78)、長男満津雄さん(59)と共に切り盛りする。「お宅は家族で店がやれていいね」とお客さんからよく言われる。「ほんとに、家族が一番いい」と幸せそうに笑った。

【主な人気メニュー】 チャーハン750円、レバニラ炒め750円、ギョーザ(6個)500円、ラーメン550円、天童ラーメン(野菜あんかけ)800円、もやしラーメン700円、中華丼850円など。

【メモ】 天童 さいたま市大宮区吉敷町2の108の10(電話048.645.5497)。営業時間は、昼は午前11時~午後2時、夜は午後5時~6時半。水曜定休。カウンター8席、テーブル席二つ。JR大宮駅から徒歩10分。

山形県天童市出身の店主赤塚薫さん

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