長崎IRの整備計画不認定 県が報告書案提示 国審査委の裁量大きく…再挑戦「ハードル高い」

 長崎県は3月、IR整備計画の不認定についての報告書案を県議会に提示。計画の可否を見極める審査委員会の裁量が大きく、結果を覆すのは難しいとし、国への行政不服審査請求を見送った。現行制度での再挑戦も「地方では相当程度ハードルが高い」としている。
 不認定後、県は国に審査の疑問点を記した質問書を送付したが、明確な回答はなかった。大石賢吾知事は2月に観光庁の高橋一郎長官と面会。「これ以上の回答はない」との返答を受けた。
 このため、県は審査結果を推察する形で報告書案を作成。県は「国際的な商慣習」に基づいて資金調達などを計画した一方、国は審査委の裁量的な判断に委ねたため「認識に隔たりが生じた」と結論づけた。
 識者の見解も紹介。国際カジノ研究所の木曽崇所長は、県の資金調達は「諸外国のIR開発では一般的な手法」と支持。NPO法人ゲーミング法制協議会の美原融理事長は新型コロナ禍が事業推進を阻害したと分析した。県は議会の指摘などを踏まえて最終的な報告書をまとめる。
 一方、国はIR整備を最大3カ所と規定。残り2カ所を追加募集する可能性はある。しかし、長崎IRはHTBから敷地を購入する合意が前提で、不認定によって契約は失効した。県が再挑戦するためには土地を確保する難題が生じる。
 それでも海外の有力なカジノ会社とパイプを持つある関係者は再挑戦を期待し、こう語る。「不認定は長崎IRの高い潜在力は否定していない。手を挙げる事業者はいる」

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