Google、「Pixel 10」に向けて「Tensor G5(仮)」準備中か

Image:VDB Photos/Shutterstock.com

GoogleのPixelスマートフォンに搭載されるTensorチップは、これまでサムスン製Exynosをベースとしており、製造もサムスンが担当している。だが、2025年の「Tensor G5」では初のフルカスタム(完全自社設計)チップとなり、TSMCの3nm技術により製造すると昨年夏に報じられていた

その続報として、Tensor G5チップの準備が「Pixel 10」搭載に向けて着々と進んでいると伝えられている。

昨年の報道では、Googleが初のフルカスタムチップ「Rendo」の機能を削った後も、TSMCの引き渡しが遅れ、コード名を「Laguna」(Tensor G5)と改めて2025年に投入を目指していると述べていた。このチップは薄型化と省電力を実現するパッケージ技術「InFO(Integrated Fan-Out WLP)」が使われるとのことだった。

今回の新情報は、未発表のAndroid製品に詳しいAndroid Authorityがもたらしたものだ。それは「Tensor G5サンプルチップの出荷マニフェスト(積荷目録)」と称する文書であり、TSMCとInFO_PoP技術への言及が確認できる。

Image:Android Authority

一見すると暗号のような文字の羅列だが、Android Authorityは1つずつ注釈を付けている。このうちInFO_PoPとは、TSMCが開発した「半導体チップの上に別の半導体チップを積層する」3次元実装技術のこと。つまり、TSMCが製造を請け負うと示されているわけだ。

注目すべきは、この初期開発チップが16GBものRAMを搭載していることだ。これはPixel 8 Proの12GBを超えつつ、次期「Pixel 9 Pro」が搭載すると噂の16GBと同等である。

より多くのRAMは、Gemini Nanoや今後のマルチモーダル機能など、オンデバイスの生成AIに対応するため必須となる。Pixel 10世代では、Proのみならず標準モデルも16GBを搭載することになりそうだ。

また、台湾のGoogleが輸出業者で、インドのテソルブ(チップの検証とテストを提供する企業)が輸入業者になっていることも興味深い。Googleは台湾に大規模なハードウェア・エンジニアリング拠点を持っている一方で、Tensorチップ開発エンジニアの大半がインドにいるとも報じられていた。

もしも新チップの開発が予定通りに進んでいれば、Pixel 9シリーズに搭載される形で世に出るはずだった。が、結局は間に合わず、次期「Tensor G4」はサムスン製のままで、前G3チップから性能や電力効率の改善も限定的だと見られている。

Pixel 9シリーズは、標準モデルのPixel 9/9 Pro/9 Pro XLに加えて、折りたたみ機のPixel 9 Pro Foldを含めた4モデル構成になると予想されている。デザインも刷新されて魅力的な製品となりそうだが、本当の飛躍は来年待ちかもしれない。

© 株式会社 音元出版