「Matrox Monarch EDGE S1」が「東京-大阪間 番組ナレーション/アテレコ録音システム」に採用(導入先 株式会社よしもとブロードエンタテインメント)[REMI by Matrox Monarch EDGE] Vol.02

株式会社よしもとブロードエンタテインメント(以下:よしもと)は、Matrox社の「Monarch EDGE S1」を採用し、遠隔地でのナレーション収録や二拠点間のポストプロダクション編集の共同作業を実現した。

さらに、将来的にはライブクラウドシステムを使用し、外部クリエイターとの共同制作や全国47都道府県の各拠点の芸人やスタッフ、現地ディレクターやクリエイターとの共同作業に活用することを目指している。

採用の背景と理由

よしもとの技術部は、「Monarch EDGE S1」を採用することで、遠隔地でのナレーション収録や二拠点間の共同編集作業を実現したという。

「Monarch EDGE S1」はSRT対応デバイスで、エンコードとデコードを同時に処理できる上、CUEランプ(タリー)とインカムにも対応。

現在、よしもとでは「Monarch EDGE S1」を東京と大阪に設置し、社内VPN回線を使用して東京-大阪間のインカム/CUEランプ(タリー)/映像音声を活用したナレーション収録を行っている。その方法や「Monarch EDGE S1」を採用した背景について、同社チーフプロデューサー 直田輝彦氏に話を伺った。

Matrox Monarch EDGE S1について

最新の配信環境に最適化された4K/マルチHD配信およびリモートプロダクション向けのエンコーダー・デコーダー両対応オールインワンモデルである。

H.264エンコーダーは汎用性が高く、様々な環境に対応する。異なる機器間における相互運用の安定性という点で、最良の選択肢となる。

4Kの映像配信やマルチカメラ配信、リモートプロダクションなど、多くの用途で活用できる。

採用のモデルとその決め手について教えてください

直田氏:

他社製品も試しましたが、エンコードとデコードを同時に処理可能な一体型で、タリーランプとインカム機能があるのは「Monarch EDGE S1」だけだったため採用を決めました。一体型ですので導入コストを抑えられました。また、使用して実感したメリットは、当たり前ですが、テレビ会議アプリとは比較にならないほど遅延を感じないので、大阪にいるディレクターと東京にいるナレーター芸人さんのコミュニケーションが円滑に行えた点です。
あと、音声回線は上りモノラル2回線・下りモノラルの2回線があるので、制作連絡線4Wと技術連絡線4Wを別々に作ることができた点です。

エンコードとデコードを同時に処理でき、タリーランプとインカム機能を備えた「Monarch EDGE S1」

具体的にどのように使用されていますか?

直田氏:

まず、東京にナレーター、大阪にディレクターを配置したナレーション録音です。遅延を感じない音声回線にSRTを使用した低遅延映像のSDI送受信機能、およびタリー機能をCUEランプ回線として使用しています。
メリットは大阪-東京間の芸人さんや制作スタッフの移動費の削減です。あと、東京の人気芸人さんや声優さんのナレーションを大阪の番組でも採用できるので、映像制作の幅が広がります。
大阪の師匠のナレーションを東京の番組でも採用しやすくなります。アニメのアテレコ収録の可能性も検討しています。
次に、東京ポスプロと大阪ポスプロの共同編集作業です。例えば、エディターは大阪、テロップデザイナーは東京から大阪の端末にアクセスして参加し、大阪の番組の本編編集作業を共同で行います。
VPNが繋がっている同じ会社間だけでなく、将来的にはフォトロン社のライブクラウドサービスを利用してインターネット経由で外部協力プロダクションやエリア(地方)在住クリエイターに映像を送り、番組本編作業に参加してもらうことを考えています。地方のアーティストさんに活躍していただくことで雇用を生み、地方創生につながることを目標としています。
そして、YouTube、Vimeoなどのライブストリーミング機能を使用した遠隔地への納品前プレビューです。こちらはRTMPプロトコルなので数秒遅延はありますが、一時停止や少し巻き戻して確認できるので忙しいプロデューサーやディレクターからも好評です。
最後に、大阪ポスプロ-東京ポスプロ間の技術スキルアップ講習での利用を検討しています。

「Monarch EDGE S1」はアイデア次第で様々な活用法が期待できる

今後の使用について計画があれば教えてください

直田氏:

東京と大阪の業務の効率化と外部プロダクションとの更なる連携だけでなく、よしもとが進めている地方創生につながるようなエリアに住むクリエイターとの連携を目指しています。また、2025年に大阪万博、2029年(予定)にはIR事業が開始されるので、このシステムを様々なコンテンツ作りに活用していきたいと考えています。

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