「感動的な勝利だ」全仏OP3年ぶり2回戦進出の錦織圭に公式サイトが異例の注目! 4時間22分のフルセット死闘を称賛「負けん気は強い」

四大大会に帰ってきた”エア・ケイ”に拍手喝采が送られている。

現地5月26日、テニスの「全仏オープン」男子シングルス1回戦が行なわれ、元世界ランク4位の錦織圭(現350位)がガブリエル・ディアロ(カナダ/同166位)と対戦。4時間22分にも及ぶフルセット(7-5、7-6(3)、3-6、1-6、7-5)の激闘を制し、同大会3年ぶり11度目の2回戦進出を決めた。

文字通りの死闘だった。錦織は第1、2セットを連取したが、それ以降は足が鈍り急失速。第3セットは3-6、第4セットを1-6で落とした直後には腰に違和感を訴え、メディカルタイムアウトを要求。マッサージを受けながら、34歳になった肉体にムチ打ち、プレーを続行した。

運命の第5セットも第1ゲームでいきなりブレークを許した錦織。しかし、かつて全米オープンでファイナルの舞台を踏んでいる日本人は土壇場で底力を発揮。第12ゲームを制して、接戦に終止符を打った。

錦織の勝利にはテニス公式サイト『ATP Tour』も反応を示している。全仏オープン1回戦を振り返ったレビュー記事を見ると、「ケイ・ニシコリが5セットのスリルを制し、ローラン・ギャロスで感動的な勝利を収めた」と銘打たれたタイトルで日本人プレーヤーの奮闘ぶりに注目。「彼にとって、2021年の全米オープン以来となるグランドスラムでの試合は、記念すべきものとなった」と、約2年9か月ぶりの出場となった四大大会の白星を称えている。
記事では、錦織の5セットマッチの勝率が「28勝7敗」という驚異的な数字を紹介。テニス専門データサイト『ATP Stats』によると、勝率は80%を誇り、これはエイドリアン・マナリノ(77.8%)、ノバク・ジョコビッチ(77.6%)などを抑え、錦織が現役選手の中でトップの成績だと紹介している。

さらに、「ニシコリはここ数年、怪我に苦しんでおり、今大会は2021年10月のインディアンウェルズ(BNPパリバ・オープン)以来、6度目の出場となる。しかし、彼の負けん気が依然として強いことは明らかだ」と言及。全盛期ほどの身体のキレはなくなったとはいえ、相手をねじ伏せる力強さに注目。その闘志を称賛している。

まさに死力を尽くして勝利を掴み取った錦織は試合後、中継したWOWOWのインタビューで開口一番、「早くロッカーに帰りたい」と苦笑いを浮かべながらコメント。疲労困憊な様子を隠し切れなかったが、価値ある白星に「接戦を勝ち切れたのは、いい経験になるのかな」と手応え。喜びを嚙みしめながら、次戦に視線を向けていた。

肉体のダメージは計り知れないが、四大大会で輝かしい実績を残してきた錦織の動向には熱い視線が注がれている。

構成●THE DIGEST編集部

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