装備を充実し、エンジンはパワーアップ! フルモデルチェンジしたKTM 390 DUKEが速い

「DUKEシリーズ」のミドルクラスとして高い人気を得ている390 DUKEがフルモデルチェンジ。

エンジンは373ccから398.7ccへと排気量を拡大しつつ、軽量コンパクトな「LC4c」へと進化。最高出力は1PS増えて45PSへとパワーアップしつつ、EURO5+に適合している。フレームと足周りも一新した、「THE CORNER ROCKET」ことKTM 390 DUKEを紹介していこう。

写真:関野 温

部品の90%を新型に変更してフルモデルチェンジを敢行

フレームは新設計でスタイリングも一新。長いタンクスポイラーが目を引くデザイン。

新設計でコンパクトになったエンジンは、名称も「LC4」から「LC4c」へと変更。シリンダーヘッドとギヤボックスも見直すことで、EURO5+をクリアしている。

KTM 390 DUKEは排気量を373ccから398.7ccへと増やされ、最高出力は44PSから45PS、最大トルクは37Nmから39Nmへとそれぞれ高められた。カムはDOHCを継承しているが、軽量コンパクトになり、最新のEURO5+規制もクリアしている。

リヤショックを車体右側へオフセットし、スチール製トレリスフレームとスイングアームに装着。サブフレームはアルミダイキャスト製に変更された。

新設計フレームは、スチール製メインフレームとアルミ製サブフレームを組み合わせた2ピース構造。鋳造アルミ製スイングアーム、オフセット量を見直したトリプルクランプと合わせてハンドリング性能を向上し、マシンコントロール性と安定性も改善されている。

左右非対称形状の新型スイングアーム。フロントサスは新形状のトリプルクランプにセットされる。

リヤショックをオフセットして、シート高は830mmから820mmに下げられた。オプションのローシートに交換すれば800mmになる。フロントフォークはWP製φ43mm APEXオープンカートリッジで、伸側と圧側の減衰力を5段階に調整可能。リヤショックはWP製APEXスプリットピストンを装備。伸側とプリロードの調整ができ、快適な乗り心地とトラクション性向上に貢献する。

ブレーキは前後ともにバイブレ製を採用。「SUPERMOTO ABS」と「コーナリングABS」を標準装備している。

フロントはバイブレ製4ピストン・ラジアルキャリパー。ディスクはφ320mmと大径で、新デザインとなっている。リヤはバイブレ製2ピストンキャリパーで、リヤディスクはφ240mm。大径ディスクはブレーキング時の作動温度を下げる効果があり、それにより耐フェード性が向上し、コントロール性も向上している。ブレーキパッドのロングライフ化にも貢献。

KTM 390 DUKEの足着き性をチェック

KTM 390 DUKEも、人間工学に基づいたライディングポジションを踏襲している。

新設計フレームによりエアクリーナボックスを大型化しつつ、シート高は830mmから820mmへダウン。身長172cmのライダーも両足をベッタリと着ける。ライディングポジションに窮屈さはなく、アップライトで快適なフォームが決まる。車重も軽くて取りまわしやすく、小柄なライダーも安心してライディングできるだろう。

ハンドルバーやシートの形状は、軽快なハンドリングと安定性を両立させるために機能的にデザインされている。

アップタイプのバーハンドルはコーナリングで操作性しやすく、高い安定性が感じられる形状。シートは人間工学に基づいてデザインされた新形状となっていて、パッセンジャーの快適性も向上している。

エッジの効いた形状で、シャープなイメージに統一されたヘッドライトと燃料タンク。

容量約15Lの燃料タンクは金属製で、長いタンクスポイラーが装着されている。特徴的なヘッドライトはLEDで、まわりにはLEDポジションライトが配置されている。ヘッドライト、タンクスポイラー、タンクはエッジの効いた形状に統一され、DUKEらしいシャープなイメージを表している。車体色は画像のエレクトロニック・オレンジとアトランティック・ブルーの2色が設定されている。

正面と後方から見るKTM 390 DUKEの車体は、KTM 250 DUKE同様のスリムさとなっている。

新デザインとなった5インチ液晶ディスプレイ。速度、エンジン回転、燃料計、水温計、バッテリー状態などを表示する。「STREET」と「RAIN」のライドモードを標準装備し、トラクションコントロールの設定変更とリヤのABS解除も可能。スマホとの接続が可能で、音楽再生や電話応答ができる。ディスプレイ左横には電源ソケットを装備。また、ディスプレイ表示はサーキット走行向けの「TRACK」も選択でき、ラップタイマーを表示し、理想的なスタートをサポートする「ローンチコントロール」も使用可能となる。

ディスプレイの表示変更や機能設定はハンドル左側に設置された「4ウェイ・メニュー・スイッチボックス」で操作。ハンドル右側はキルスイッチとスタートボタンが配置される。ボタンは大きめで、グローブのままでも操作しやすい。## 振動がなくシャープでパワフルなエンジン。ウェット路面でも速い!

KTM 390 DUKEもウェット路面での試乗となった。「STREET」と「RAIN」の2つのライドモードを選択することができ、まずはデフォルト設定となるSTREETモードを試してみた。

STREETモードはスロットル操作に対するエンジンの反応がシャープで、極低回転からトルクが立ち上がってくる。アイドリングから少しスロットルを開けただけでもパワフルで、マシンはしっかりと加速状態になる。標準装備された「ミシュランPOWER 6」はウエット路面でもグリップ力を発揮し、不意に後輪がスライドするような不安感はなかった。ABS、トラクションコントロールの装備も安心感になっていたが、個人的にはウエット路面ではパワフルすぎて、KTM 390 DUKEの高性能を生かしきれなかったのが正直なところだ。

RAINモードはトラクションコントロールの介入度が高くなり、スロットル操作に対するエンジンの反応もマイルドになる。エンジン回転の上昇も緩やかになり、トルクとパワーの立ち上がりも穏やかになる。ドライ路面では加速とパワーに物足りなさを感じる乗り味だが、ウェット路面ではそのマイルドさのおかげでマシン挙動もゆったりして、安定感が増して扱いやすく感じる。エンジンは単気筒と思えないほど振動が少なく、高回転までスムーズに回る。その時のトルクとパワーの出かたは穏やかだが、とは言えそこは400ccクラスなので、加速とトップスピードは250ccクラスよりも明らかに速い。ドライ路面なら、軽い車体とハイパワーの組み合わせでワインディングはもちろん、サーキット走行も存分に楽しめそうなポテンシャルが感じられた。

ライドモード、コーナリングトラクションコントロール、カラー液晶ディスプレイ、調整機能付き前後サスなどKTM 390 DUKEは装備も充実している。とくにライドモードは乗り味を大きく変えることができ、扱いやすさにもなっている。250からのステップアップだけでなく、ミドルクラスからのダウンサイジングとしても、シャープな走りのマシンとして楽しめるだろう。

全長/全幅/全高NA装備重量165kg(燃料含む)ホイールベース1357mmシート高820mmエンジン型式水冷4ストロークDOHC 単気筒総排気量398.7cc最高出力33kW(45PS)最大トルク39Nm燃料消費率(WMTCモード値)NA燃料タンク容量約15Lブレーキ形式前ダブルディスク、後ディスクタイヤサイズ(前/後)前110/70R-17 後150/60R-17ボディカラーエレクトロニック・オレンジ、アトランティック・ブルー価格78万9000円

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